無題「ねぇドーラ」
「なんでしょうリュウマ様」
「今度ドーラのこと抱いても良い?」
あまりに急すぎて飲み始めた水を盛大に吹き出してしまった。
「うわ、大丈夫?」
「ゲホッゲホッ…っりゅ、リュウマさま…今なんと……?」
「だからぁ、ドーラのことを抱きたいなって」
これは夢か?夢なのか?!
「!!!!???、リュウマ様が俺を!?俺を抱く?!俺なんてそんなリュウマ様に抱かれて良いような男ではないですっ、そんな…」
ただでさえ今こうして貴方に触れられて、目が覚めたら隣にいることが奇跡だと思っているのに…いやいや、今さっき僕のこと抱いたばっかだよね?と言いたそうにリュウマ様は面倒くさそうな顔でこっちを見ている。それとこれとは話が別で…自分でも何を考えているのかわからなくなってきた。
「…ドーラ」
「は、はいっ!」
「僕の目を見て」
赤い瞳に見つめられる。俺もそれに応えるように視線を合わせる。
「もっと寄って」
何故だろう…このようなペースになると抗えない。後ずさりしていた身体を近づけ、ベッドのシーツが更に乱れていく。
「良い子だね…緊張しないでもっと力を抜いて…」
「…っあ…」
成長したその手で胸を人差し指でなぞられて思わず声が漏れる。
「ねぇ、僕の『命令』がきけないの…?今まで僕にあんなことやこんなこと…さっきもこーんな風にしてきたよねぇ…?」
『命令』この言葉を随分久しぶりに聞いた気がした。耳元で囁きながらリュウマ様は先程俺がリュウマ様に触れた時と同じように太ももを撫でていく。
「そ……そんな、滅相も…ありませ…」
「だよね♡それにもし僕が他の人を抱くってなったらドーラは黙ってないでしょ?ドーラは僕のこと大好きだもんね?」
「うっ、大好きです…///」
図星だ。確かにリュウマ様の言う通り俺はリュウマ様のことが大好きだ。いつも思っているのに改めて本人から聞かれると恥ずかしくなる。烏滸がましいことを言うと、どこの誰かも分からない馬の骨のような奴に取られるなんて…そいつに何をするか分からない。
「あははっ!じゃあ改めて聞くね?次はドーラのことを抱きたいんだけど、イエスかノーで良いか教えて?」
「……ィエスで…」
「これで無理やりじゃないよね?ふふっ、正直で良い子だねドーラは…」
そっと頬を撫でながらリュウマ様が顔との距離を縮めてくる。まさかキスを…?必死に心を落ち着かせながら目を瞑る。
「んっ!?」
ふと目を開けて見ると、唇と唇の間に人差し指の壁が
「欲張りだね。続きは本番でね…?」
自分の勘違いが恥ずかしすぎてもう声が出なかった。そこはキスかと思うじゃないですか!!
「カーワイイ♡。じゃあお風呂先に借りるね。あっ、一緒に入る?」
今は無理です!!とは言えず首を振った。
「そう、なら待ってる間に次いける日考えといて♪」
そう言いリュウマ様は部屋から出ていった。
「ぁぁぁあ〜〜〜〜〜〜……///」
俺は近所迷惑にならないように枕に顔を埋めて声を上げた。本当にもうあなたって人