チョコレートという名の愛をちょうだい! ボスンッ! という音と共に、腰のあたりに重たい衝撃が走った。
不意打ちのような背後からの『攻撃』を受け止めて、謝清呈は、意図せず喉の奥に声を詰まらせる。そのまま顎を引いて視線を下げ、桃花眼を見開いた彼は、自身の腰に絡み付く細くて白い腕をはっきりと見とめた。誰のものかなんて、わざわざ振り返って確認するまでもない。ハア、と大袈裟に嘆息を零し、自身の右手を額に添える。そうして、やれやれと頭(かぶり)を振った彼は、咎める色を滲ませながら「……賀予」と静かに『少年』の名前を呼んだ。
大好きな謝清呈の声に反応するように、賀予の可愛らしい『犬』の耳がピンッ! と持ち上がる。けれど、そんな賀予を謝清呈はあっさりと一蹴した。
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