短編小説土曜日に雑渡が職場に用事があり、
いさ子を連れて来ていた。
この後すぐに出かけられるようにとの事だ。
雑渡が働いている会社には初めて入ったのでついキョロキョロしてしまう。
「ちょっとここで待っててね。」
そう言うと部屋にはいってしまった。
結構大きな会社なので(探索しようか?)
すぐには終わると言ってたから、この階だけ見ても楽しそうだ。
少し歩いてみるいさ子。
するとガチャと、別の部屋のドアが空き男が出てきた。
少し眉毛に特徴がある。
「あれ?君どこのお子さん?」
「あ、え??」
お子さんと言われて一瞬迷ったが、すぐに体制を整えて、
「雑渡さんの婚約者です。」
と答えた。
「…え?!君が??!!」
驚いて少し大きな声をあげていさ子をまじまじと見ている。
すると、男が部屋のドアをおもむろに開けて部屋に向かって声をかける。
「おい!昆奈門の嫁さんきてるぞ!」
「え!」
という声が聞こえてもう一人男が出来た。
かなりのイケメンでつり目が特徴的だ。
「き、君が雑渡さんの嫁さん??」
「らしいぞ。若いとは聞いてたが若すぎるだろ。娘と同じくらいなんだが?」
計4つの目でいさ子を凝視する。
その視線にいさ子はなにも言えなくなってしまう。
「大丈夫か?昆奈門になにか無理矢理働かせられたりしてないか?」
「雑渡さんはそんな事しませんよ!でも、なんかあったら周りに言うんだよ。」
「え???え????」
二人に心配そうにまくし立てられ、
動揺するいさ子。
「あれ?いさ子ちゃん?」
後ろから声が聞こえて振り返ると尊奈門がいた。
「あ、こんにちわ…」
「久しぶりだね。」
二人が会話をしていると、
「尊は知ってるのか?」
「お前なんで言わない??報告しろよ。」
「一気に話さないで下さいよ…」
げんなりして二人の問い詰めを止める。
「それよりもなんでいさ子ちゃんがここにいるの?」
「それは」
「私が連れてきたんだよ。」
雑渡がドアから顔をだして、被せるように答えた。
「もぅ、うるさいなって思ったら…」
「昆!お前こんな若い嫁さんもらうのか!」
「雑渡さん!こんなに若いとは思いませんでしたよ!ロリコンですか?」
「もぅ~うるさい…」
「雑渡さんが説明しなかったのが悪いですよこれ。」
なんとも賑やかで、いさ子はその光景を見て楽しくなってニコニコ笑った。