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    夏naaa

    ここは墓場です。
    書き捨ても普通におきます。

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    夏naaa

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    修学最後の日、あまりうまく書けなかった…。

    修学旅行へ行ってきます。(最終日)「いさ子声枯れてる?」
    「う”ん」

    仙子と合流したいさ子は寝不足と声の不調で顔色が悪い。
    何度か会話している途中で欠伸が出て、あまりの眠さに目が横棒になっている。

    「昨日は大変そうだったもんね?」
    「え?」

    思わぬ仙子の言葉に少し汗が滲んだ。
    仙子はそんないさ子をほっといて先に歩いて行った。
    あの時の電話の時を思い出して顔を火照らせて一人でトボトボ
    他の生徒たちとレストランへ向かう。


    受付のロビーで雑渡はとにかく謝っている。
    「多分、いや、ある程度は乾いたと思うのですが、確実に汚してしまったので
    これでクリーニングしてください!!」
    「お、お客様、一体どんなことをしたのですか?」
    受付でクリーニング代を押し付け頭を下げていた。
    「こ、このお金は受け取れません・・・。」
    「いえ、むしろ受け取ってクリーニングしてください。」
    とにかく押し付けてそのまま鍵を置き、逃げるようにチェックアウトをして出ていった。




    いさ子たちは最後の修学旅行を楽しんで帰っていく、
    行きと同じように新幹線に乗り、友人たちと楽しくと言いたいが
    いさ子は爆睡している。
    周りの子達はいさ子の寝顔を見て「最後まで眠そうだったね〜」
    と話して眺めていた。

    例の手紙の男の子は仙子のガードによって話かけられず、モヤモヤしていた。
    話しかけようと近づいていてもいさ子に睨まれて無視をされる。
    あの時缶を投げてきたのは、温泉で一緒になった男だと思ったが確信が持てず
    言えずにいた。
    (見ようとしたらジュースがかかったんだよなぁ)
    「ちょっとトイレ」
    少し思い出したくて一人でトイレへ向かった。
    ブツブツとあの時の状況を思い出そうとトイレへ向かって歩くと
    「やぁ。」
    喫煙のドアからその火傷の男に挨拶をされ、肩を掴まれて引き込まれてしまった。
    バタンと閉められると喫煙ルームには雑渡と男の子しかいない。

    「あ、あの時の」
    「覚えてくれてた?」

    ひょうひょうと答える得体の知れない男、柄のシャツと火傷の跡。
    (あの温泉の時の人だ。)
    戸惑い言葉が出ないでいると雑渡はそのまま話を続ける。

    「いさ子ちゃんの事、本当に大好きなんだね?」
    「?!」
    「手紙も、見たよ?」

    ニヤリと影のある笑いを向ける。
    雑渡が近づいて吸っていたタバコの煙が目の前で吐き出され少しむせた。
    言葉に端にから棘が出ていることはわかっていて、怖くなってそのまま黙るしかない。

    「私はね、別に恋愛は自由だと思うのだけど、相手が嫌がるような事をするのは「恋愛」とは言わないんだよ、ただの「自己愛」だと思ってんだよね。
    わかる?」
    「は、はぁ・・・。」
    「だいたい、なんでいさ子ちゃんが怒ってるかわかるかい?」
    「え?」
    「君の手紙には相手の事を思うような”配慮”の言葉を書いてなかったからだよ。」
    「…」

    思い当たるような気がして今度は考え込んで黙ってしまった。
    今までのいさ子の行動もそれで怒っていたとしたら。

    「多分ねぇ、手紙自体は嬉しかったと思うよ。」
    「そう、なんですか?」
    「うん、ただね、私の事を悪者にされたのが傷ついたんだって。」
    「あ、やっぱりいさ子ちゃんの。」
    「そう。私はね、君の女の子を見る目は買ってるよ?もちろん今までの行動は許せないものはあるけど。」
    ドキリと心臓が大きくなって雑渡の顔を見た。
    その表情は別に怒っていないが、その表情から何を思っているのか読めない。こんなに読めないのは初めての経験で背中が少し寒くなる。

    「缶を投げたのは悪かったよ。大人げなかった。」
    「やっぱり!!…僕も悪かったです。彼女の気持ちを考えてなかったと思います。」
    「うん、そうだね。あと、いさ子ちゃんにはもう近づかないでね?
    じゃないと、俺、君に何するかわかんないから。」

    最後の言葉は声色は変わらなかったが、口の端は辛うじて尖って笑っているが、目は一切笑っていない。
    本気で大人が怖いと思ったのは父親にキレられた時だった。
    それ以外は怒らせるような事も、怒られるような事も外では
    しなかった男の子が、本気で怒らせてはいけない大人がいる事を認識した瞬間だ。

    「す、すいません・・・。」
    身体が震えてまるで蛇に睨まれてしまったのようで、下を向いて目線を合わせないようにするので精一杯だ。空気がうまく吸えなくて苦しい。
    すると頭に手を乗せられた。びっくりして雑渡を見ると目から笑っている。
    本当に怒ってないで笑うと優しく笑うのだろうと伺えた。

    「君も若いからね。失敗して学ぶといいさ。いさ子ちゃんを選ぶのは本当にいい目を持ってるよ。相手が悪かったけどね。」
    んふふと笑う雑渡をみて、安心と、少しかっこいいかもと思ってる自分がいた。しかし、気になったことがある。

    「あの」
    「ん?」
    「なんで修学旅行に居たんですか?」
    「心配だからついてきたの。」
    「え?(それっていいの?)」
    「いさ子ちゃんにはついてきた事バレたけど。」
    「そう、なんですね。いさ子ちゃんは怒らなかったんですか?」
    「いや?修学旅行で一緒に入れて嬉しいって言ってた。」

    先ほどの笑顔とは別の、心から幸せを感じている笑顔で答えた雑渡をを見て「諦める」という選択しかない事を悟った。
    (そういう形もあるのか・・・。)




    「雑渡さん。携帯に送った「話はついたよ。」ってなんだったんですか?」
    「ん?手紙の男の子とお話をしたの。」
    「え!?そうだったんですか?!」
    「うん。わかってくれたみたいだよ。」
    「…ありがとうございます。」

    修学旅行から、まっすぐ雑渡の家に帰っていく二人。
    自分でなんとか解決したかったが、それができなかった自分が不甲斐なく
    思えて少し落ち込んだ。
    それを見て雑渡はいさ子の手を握って笑いかける。

    「え?」
    「いさ子ちゃん約束覚えてるよね?」
    「え、えぇ。」
    「私ができることはしてあげたいから、守らせてね?」
    「…はい。」

    やっと飲み込んでいさ子は雑渡に笑い返した。


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