探囚再掲④ 興味深いことがあると途端に輝きを増す瞳だとか、工具やペンを手にして休むことなく働く、少しかさついた肉付きの悪い手だとか、大して手入れもしていないのに、触り心地の良い髪の毛だとか。
「好きだなあ」
「え」
突然素っ頓狂な声を上げ、目をぱちぱちと瞬かせているルカに、首を傾げて尋ねる。
「どうかしたの?」
「ぁ、いや、なんでもないよ。そう、今思い付いたことがあって……うん、そうだな。忘れないうちに書き留めてきたいから、失礼しても?」
「ああ、うん。いってらっしゃい」
度々記憶を無くしては、いい考えが浮かんでいたのにと悔しがっている彼だ。
今にも忘れてしまいそうで不安なのか、どうやら落ち着かないようだし、ここは文句を言わずに送り出してやるべきだろう。
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