「ケープ振り合うも多生の縁」兄のように慕いたかった客が引き、そろそろ終いにするかと立ち上がる。
最近現れては、機嫌よくこちらを見ている幼い星と目があう。
トロ「れ…れぶぅ…」
教えてもらった名前を口で転がしてはしっくりこないトロ
トロ「あ、にぃ…兄ィ!」
とらわれる前のフェルのように、無垢な笑顔で、同じように兄と呼んでくる。
フェリエル「姉ぇ、兄ぃ…ゼラ…ん-?…ゼラにぃ!ゼラ兄がいい!!」
レヴ「そうか、じゃあ俺は兄ちゃんだな」
彼女が自分を兄と呼び、兄妹になった時の光景とかさなってぐにゃりと視界がゆがむ。
レヴ「…」
この子に悪気がないのはわかっている。
やめてほしい、はやくここからはなれたい。
トロ「レぶ兄ぃ!!」
トロが無邪気にレヴの片腕をつかむ。
レヴ「…めろっ」
限界だ
トロ「兄ぃ…?」
絞り出された声を聴き返す。
レヴ「その呼び方をやめろっ!!」
にらみつけ、振り払おうとするが掴まれた力が強く抜け出せない。
トロ「れ、うに?」
怒鳴られ、震えるレヴに驚き硬直してしまい、さらに力がはいってしまうトロ。
急激にレヴの顔色が悪くなり、呼吸も乱れていく。
トロ「れぶに?」
焦って両手でレヴをつかもうとする。
その瞬間、赤い何かに弾き飛ばされた。
見上げればタビビトケープを羽織った星が間に立ってこちらを見下ろしていた。
着地の勢いではためくケープをそのまま片手でひろげ、幼い星とレヴを遮る。
見えなくなったレヴを心配してトロが騒ぎだす。
融合「悪いな、坊や。今日はもう終いだ」
トロ「う゛ーっ!!」
とびかかるが足払いをくらい背中を踏み抜かれてトロが呻く。
融合「一応聞くけど”お気に入り”かい?」
レヴ「…”名刺”もわたしていない」
視界を遮ったことで少し持ち直してきているレヴに、今のうちに帰ってしまえと促す。
屋台の片づけをする余裕もなくレディだけつれて飛んでいくレヴを見送り、足元に視線を戻す。
呻きながら融合をにらみつけている幼い星の子
融合「ふーむ、遊び足りないかぁ。しょうがない、すこし相手をしてあげよう。ほら、きなよ」
足を退けてやり、レヴを追いかけない様こちらに食いつかせる。
トロの猛攻をふわりふわりとよけ煽り時間を稼ぐ。
融合「ふんふん、槍がすきなのかい?荒いだけじゃなく軽いなぁ」
トロ「ァァ!!」
渾身の一撃をはなつもいなされて蹴り上げをくらい、地面に再び叩きつけられた。
融合がよっこいしょーっと、倒れ伏した幼い星の子の背中に腰を下ろす。
トロは呻き暴れるがびくともしない。
融合「…どうしたもんかねぇ」
レヴが置いて行った商売道具を勝手に使い一服しはじめる。