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    screamwanderer

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    sky二次創作「ケープ振り合うも多生の縁」
    白銀君の過去のお話、まだ研究施設が稼働していたころ
    黒曜と猫の出会いはこちら⇨https://poipiku.com/4271618/9844575.html

    #sky星を紡ぐ子どもたち
    childrenSpinningSkyStars
    #sky創作
    skyCreation

    「ケープ振り合うも多生の縁」黒曜と白銀と猫毎日、地表の光を吸わなくなるまで回収し、提出する。
    通常の星の子は、一日に回収できる光の量が決まっていた。
    この者たちを見ていれば、それは然るべき処置として設定されたのだろうと、白銀は思っていた。
    大地に還元することなく、過ぎた欲で光を蓄え消費する。
    自分を担当していた研究員が一部の者だけだと主張していたが、自分の前にはこんなにも過ぎた汚物がたむろっている。
    そして自分もタガをはずされた、醜い化け物だ。
    研究員B「No46、今日も通常回収だけか!」
    躯体の起動から動作訓練まで担当していた者が先日自害をし、このわめきちらす研究員があたらしい担当となった。
    研究員B「こんな出来損ない、さっさと処分してしまえばいいものをっ」
    苛立ちをそのままに突き飛ばされる。
    特に抵抗することなく倒れてやる、こうして相手の好きにさせておくのが一番短く終わるのだ。
    研究員C「しかたないでしょう、今の時代一欠けらでも光は惜しい。通常回収分だって貴重な資源です。」
    研究員Bが憤り白銀を踏みつけようと足を上げるが、入室して来た改造体が白銀をつまむように持ち上げ立たせる。
    黒曜「入り口を塞がないでもらおうか、通行の邪魔だ。」
    研究員C「No96、入室には許可をとれと何度言えばわかるのです?」
    黒曜「ノックならしたさ、そちらが聞き取れなかっただけだ。ずいぶん騒いでいるようで」
    研究員Bが行き場の失った足で床をふみつけ黒曜に詰め寄ってきた。
    研究員B「さっさと今日の回収分をだせ!」
    差し出された通常回収分と星一つ分の光を奪いとるように受け取り、研究員Bは集積施設へと荒々しい足取りでむかっていく。
    黒曜「それじゃあ、俺も待機室に戻らせてもらおう」
    踵を返した黒曜に白銀もついていこうとする。
    研究員C「待ちなさい、君達に追加任務があります。」
    黒曜「…こいつはともかく、俺は仕事をこなしてると思うが?」
    ペナルティを受けるような働きはしてないと主張する。
    研究員C「No46だけでは戦力不足なのでね。No96は収集成績は最低限、躯体の持ち帰りにいたっては皆無。だが戦闘能力は高い、そういう事です。」
    白銀「何をさせる気ですか?」
    無機質で感情のない声の問いに、データキューブを投げて答える。
    研究員C「故障個体の破壊と回収です、それは該当個体のリスト。」


    あの日からいくつの同胞を葬っただろう。
    数えられなくなっていた事に驚愕し絶望が増した。
    黒曜「考え事とはずいぶん余裕だな」
    正気を失った同胞だったモノから集積器官を引きちぎる黒曜が呆然としている白銀に声をかける。
    黒曜「あっ、ちきしょうっ!欠けちまった!!」
    貝殻を模した集積器官が欠けて、白銀の足元まで転がっていく。
    震える手で拾い上げ、手のひらに収まった小さなまだあたたかい欠片を凝視する。
    黒曜「またあのうるさいやつの小言が増えちまうな」
    げんなりと吐き捨てる。
    白銀「…すまない黒曜、小言では終わらないかもしれない。」
    黒曜「?」
    睨んだ先に白銀が欠片を握りしてを抱き込むように崩れ落ちていた。
    化け物にかえられて、最後に残るのも化け物の証だけ。
    それすらも消費される。
    陰鬱と続く日々の中、自分もそれに染まりかけていた事に白銀が嗚咽をもらす。
    黒曜「…探したがみつからなかった。俺がやれるのはそこまでだ。」
    白銀が背負い込もうとしているさまをみて、また生きづらい道を選んでるなと憐れむ。


    研究員C「最近仕事が雑ですね、故障個体の仲間入りですか?」
    ここの所ずっと砕けた集積器官が納品される。
    黒曜「そう思うなら今ここで処分すればいい。」
    研究員C「私は使えるものはぎりぎりまで使うたちでしてね。せいぜい最後まで役に立ってください。」
    研究員も改造個体もへり、喧騒がなくなった施設の廊下を研究員Cが歩いていく。
    研究員C「新しい改造体もつくられなくなり、生き残っているのは強い個体ばかりです。そういうこともあるのでしょう。」
    曲がり際に言い残す。



    白銀「朱華っ!!私だ、白銀だ!!頼むっ、聞こえてくれ!!」
    こんな者ばかりじゃない、星の子は美しいと教え命を絶った研究員の元で共に起動した同期の朱華。
    もうあの研究員が手がけた同胞は朱華と黒曜だけだった。
    黒曜「46!45はもう駄目だ!!離れろ!!」
    とびかかる朱華(No45)を抱きとめようとした白銀(No46)を投げ飛ばし自分も飛び上がり回避する。
    朱華の肥大化した黒い腕が白銀のいた場所叩き下ろされ、地面をえぐった。
    聞くに堪えない咆哮をあげて朱華が黒曜と白銀に襲い掛かり続ける。

    長い攻防が続き、3つの個体はボロボロにないっていた。
    木々に隠れながら合流する白銀と黒曜。
    黒曜「へっ、さすが45だ。強さもしぶとさもそのままだ」
    木々の合間から朱華を自棄になりながら笑いみる黒曜。
    黒曜「いい女だったのに見る影もねーや。白銀、ありったけの強化をかけろ!これが最後だ」
    黒曜が番号でなく、あの研究員がつけた名で呼ばれ驚く白銀。
    白銀「…朱華を頼む」
    絞り出した全てを使って黒曜に強化の魔法をかける。
    朱華の正面に躍り出た黒曜が大きく息を吸い込む
    黒曜「朱華っ!!俺はここだ!!」
    黒く膨れた化け物が、一瞬揺らいで硬直する。
    それもつかの間に突進をし黒曜を貫いた。
    白銀「黒曜っ?!」
    使い果たし潜んでいた白銀がたまらずに茂みから這い出てくる。
    黒曜「白銀は来るな!!」
    貫く朱華の体を抜けない様に掴みとめて、コアを狙う。
    その間にも体をめぐるコアの光が抜き取られていく。
    黒曜「…朱華、一人は嫌だと言っていたもんな。いいぜ、一緒に逝ってやる。」
    優しく笑いながら朱華のコアを破壊する。
    朱華だった塊が砂になり崩れ、来福竜の耳飾りに模した集積器官が砂に落ちる。
    貫き縫い留められていたものがなくなり、黒曜も朱華の砂の上に倒れた。
    駆け寄った白銀が朱華の耳飾りと黒曜を抱き上げ泣き叫ぶ。
    黒曜「…朱華と待ってるぞ」
    背を撫でてやろうとあげた腕が指先から砂となり崩れていく
    黒曜「だがなぁ、お前に背負われるのは御免だ。っ猫ぉぉ!!!いるんだろっ!!まだ生きてる躯体をくれてやる!!残すんじゃねーぞっ!!!」
    黒曜の叫びに、どこからかぬるりと暗黒猫があらわれた。
    暗黒猫「いいよぉ、この前のはもう駄目になってつまらなかった所だ。」
    一度絶えた躯体は持ちが悪くて長く楽しめないんだよねぇとフスフス鼻を鳴らし黒曜に近寄ってくる猫。
    暗黒猫「白いの、離れなよ。まきこんじゃうかもよ」
    白銀「っ!!」
    崩れかけている黒曜をさらに抱きしめて、首を振るう白銀にひと鳴きして吹き飛ばす。
    白銀と朱華だった星の砂が舞い散らかるなか、赤い耳飾りの片方を黒曜が掴む。
    黒曜「お前が背負うのはそれだけでいい」
    白銀に握られたもう片方の朱華の耳飾りをさす。
    黒くやわらかい靄が黒曜の全てを覆った。
    白銀「黒曜ぉっ!!」
    飲み込まれていく黒曜に手を伸ばすも距離は遠く届かない。
    靄が固まり、猫耳のような髪の毛を揺らした羽のない小さな星の子が黒曜のいた場所に現れる。
    その手には砕けたコアの器がさらさらと崩れ散っていた。
    暗黒猫「なーん、ちょっと思ってたのと違うことになった気がするの。光が詰まったの三つ食べたからかな?」
    傾げた顔の両耳に来福竜と月虹の耳飾りがひとつずつ揺れる。
    朱華と黒曜の集積器官だったものだ。
    呆然としている白銀を覗き見て
    暗黒猫「にゃんだか獲物を横取りした気分になってきたの、しょうがないからこの体が朽ちるまではそばにいてやろう。黒曜の名前も僕が食べてあげよう。」
    黒曜の体も名前もたいらげた暗黒猫だったものが、はらはら涙が流れる白銀のを両頬を小さな手で押したりひっぱったりして遊び始める。
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