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    No_name__owl

    @No_name__owl

    うちの子は何故か受けになりがち。そういう趣味。

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    「未来や過去が見れるのは便利だと思うかい?確かにそういう時もあるけど、''視えすぎる''のも良くないんだ。」

    🕰さん 過去話 僕の父さんは冒険家だった。この世界の未だ誰も足を踏み入れたことのないようなところを踏破する、そんな勇敢な人だった。

    父さんは冒険から帰ってきた時、僕と母さんにいつもお土産を持ってきてくれた。ある日は本でしか見た事ないような珍しい形をした果物だったり、またある日は海のように透き通った綺麗で美しい宝石だったり……父さんは様々なお土産と共に、今回の冒険ではどんなことがあったのか、たくさんの話を聞かせてくれた。僕と母さんはいつもそのお土産と父さんの話をすごく楽しみにしていた。

    そんな父さんは毎年結婚記念日には母さんを連れて色々な所に行っていた。いつもは何か''物''をプレゼントしているので、記念日には物ではなく''景色''をプレゼントしたかったそうだ。その日僕は毎年祖父母の家に預かってもらっていた。当時は何故僕だけ連れて行ってもらえなかったのかすごく不満だった記憶があるけど、今思えば両親が2人きりになれる数少ない日だったんだから当然だ。

    そして、あの日も僕は祖父母の家に預けられて両親が帰ってくるまでの数日間を過ごすはずだった。

    そう、あの日、''視てしまった''んだ。

    何の気なしに祖父母の家にあるおもちゃで遊んでいた時、ふと脳の中に流れ込んできた、何かの映像のようなもの。



    荒れ狂う海。真っ暗な空。バケツをひっくり返したような激しい雨。そんな海の真ん中に浮かぶ一艘の船。
    乗っていたのは、今まで見た事ないくらい焦っている父さんと、父さんの腕にしがみついて酷く怯えている母さん。

    そして、

    その瞬間、

    辺りが真っ白に染まって、

    一筋の稲妻が、

    その船に______



    そこでその映像は途切れた。
    当時僕はこれが一体何なのか理解できなかった。でも、きっと何か良くないことが起きるのかもしれないという予感がして、祖父母にその話をしてみた。

    「おばあちゃん、今、父さんと母さんが乗ってた船に雷が落ちて、それで…えっと………」

    でも、祖父母は僕の話を聞くと、

    「おやおや、怖い夢でも見たのかい?大丈夫だよ。こっちにおいで。」

    「そうだよ。あと2日3日もすればお父さんもお母さんも帰ってくるからね。心配すんな。」

    とか言って、僕の話を信じてはくれなかった。
    でも、僕もこんな経験初めてだから、もしかしたら居眠りしていたのかもしれないと思い、それ以上気にしないようにしていた。


    その次の日の朝。ある1本の電話がかかってきた。電話に出たおばあちゃんの顔色が、だんだん悪くなっていく。話を聞き終えたおばあちゃんが僕の方を振り向いてこう言った。

    「父さんと母さんが乗っていた船に雷が落ちて、早朝に海面に浮かぶ2人の遺体が発見された。」と

    僕はそれを聞いた瞬間頭が真っ白になった。昨日見たあの映像と全く同じことが現実で起きたこと、両親が亡くなったこと、幼かった僕には受け止めきれない現実だった。

    2人の遺体が回収されて、数日後に葬儀が行われた。遺影の中の2人の顔は、いつもと変わらない、ひどく優しい顔だった。

    そしてその日以降、祖父母の僕に対する態度が変わった。2人は僕にこう言った。
    「お前は死神だ!お前があんな事を言ったからお父さんもお母さんも亡くなってしまったんだ!お前が2人を殺したも同然だ!!!」

    僕は家を出ざるを得なくなった。もう、ここには居られなくなってしまった。

    それからも僕は色々なものが視えた。あの日見たような映像が、よく頭に流れ込んでくるようになった。後にそれは、『未来の出来事』であると分かった。それと同時に『過去の出来事』も視えることがあった。おじいちゃんやおばあちゃん、父さんや母さんも持っていなかった、僕だけの力。

    そう、つまり、あの時''僕だけ''が2人の結末を知っていた。''僕だけ''が2人を助けられた。もし僕があの時、もっと真面目に説明していれば、祖父母は何か行動を起こしてくれたかもしれない。2人は助かって、今も仲良くどこかの美しい景色を見ていたかもしれない。

    だから、僕は決意した。僕が視た未来にもし危険な目に遭いそうな人がいたら、絶対に僕が助けると。僕だけが救えるのであれば、僕が救わなければならない。それが僕の使命なのだ。



    たとえ、僕の命に代えても____
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