🕰さん 過去話 僕の父さんは冒険家だった。この世界の未だ誰も足を踏み入れたことのないようなところを踏破する、そんな勇敢な人だった。
父さんは冒険から帰ってきた時、僕と母さんにいつもお土産を持ってきてくれた。ある日は本でしか見た事ないような珍しい形をした果物だったり、またある日は海のように透き通った綺麗で美しい宝石だったり……父さんは様々なお土産と共に、今回の冒険ではどんなことがあったのか、たくさんの話を聞かせてくれた。僕と母さんはいつもそのお土産と父さんの話をすごく楽しみにしていた。
そんな父さんは毎年結婚記念日には母さんを連れて色々な所に行っていた。いつもは何か''物''をプレゼントしているので、記念日には物ではなく''景色''をプレゼントしたかったそうだ。その日僕は毎年祖父母の家に預かってもらっていた。当時は何故僕だけ連れて行ってもらえなかったのかすごく不満だった記憶があるけど、今思えば両親が2人きりになれる数少ない日だったんだから当然だ。
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