花と酒と「そろそろ桜が満開のようだな。週末花見でもどうだ?」
「はい、予定は空いてます」
毎年この時期になると、鍾離は花見に行こうと魈を誘う。花を眺めるだけで何が楽しいのだろうかと魈は思っていたのだが、鍾離は酒を片手に花や景色を堪能するのが好きなのだと気付いてからは、毎回付き添っている。
始めはただ川原にレジャーシートを敷いて、買って来た弁当や飲み物を持参しただけだったのだが、翌年以降は市販のものではなく朝から弁当を手作りして行くようになっていた。来年あたりはテーブルなど買い揃えているかもしれない。
前日からスーパーへ買い出しに行き、次の日はいつもより早目に起きて弁当を作る。卵焼きや煮物は鍾離が作ってくれるので、魈は簡単に出来るおにぎりや、ちくわにきゅうりを詰めたりするものを担当する。
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