dreamless【まきおぜ】(尾瀬誕2022) うっすら暖色の灯りが見える。そう思った次の瞬間には目蓋を開けていた。頬に触れた風に違和感を感じたからだ。――ここは自分の家ではない。
目蓋を開ける際に感じた引っかかりが気になって中指の腹で目頭を擦った。上目蓋のと下目蓋の接地点に固まった粘着性を持った何かをバリッと引き剥がした感覚が残っている。いつものドライアイで目蓋の内側が張り付いた感じとは違う。
ここはどこだ…?馴染みは少ないが知っている場所だと直感していた。ぼんやりした視界からの情報は根拠ではなく、確信は背中に感じるシーツの感触とマットレスの固さ、かすかに部屋の空気に混ざる匂い。仰向けに埋もれた後頭部に感じる、柔らかさ。
「お、目ぇ覚めたか」
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