Toxic ----------暖かい光が差し込む病室。
鉛筆が紙の上を走る音。
黒鉛が時に軽く、時に重く、紙の上で足音を鳴らす。
コンコンと軽く扉が叩かれる。
その瞬間、僕はこの世界の住人になる。
開かれた扉の先には、心の底から愛する家族の姿があった。
「おにいちゃん!おみまいにきたよ!」
幼い少女が笑みをこぼす。
「こら、病院ではしずかにって約束したでしょ?」
「まぁまぁ、この子も大好きなお兄ちゃんに会えて嬉しいんだよ」
優しく諫める母さんの声にそう答える父さんの声。
「父さん、母さん、それにえりな。お見舞いありがとうね」
そう彼は言うと、駆け寄ってきた妹の頭を撫でる。
「えへへ~おにいちゃん、なにおえかきしてたの?」
「今日はこれ」
そう言って先ほどまで描いていたものを見せた。
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