番外編⭐︎「一年、待っていて欲しい」
「その間に少しでも隣に並べるようなアイドルになるから」
そうやって私が彼女に伝えたのは綺麗な桜が散り始めた4月の初め。久々の再会。学内敷地内のベンチにて。身勝手だとは思ったけれど、でも彼女も笑ってくれた。
「待っているのは得意だから」
と、いつもの笑顔を私に向けて。
「なんて、切り出せばいいのかわからない……」
思わず口に出してしまった。お昼休み。一人であのベンチに座った私の口から思わず言葉が溢れ出た。
りんちゃんとの再会から一年経った。そう、もう一年経ったのだ。
学園に通いながらオーディションを受けたりお仕事をしたり、さまざまな経験をさせてもらった。アイドルとしての仕事もだいぶ慣れてきた……と自分でも思っている。だからこそ伝えなければいけない言葉があるのだ。
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