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    児童書とまぐろとぽてと。
    キミと宙へ|Niziu|オケ

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    初投稿〜!年内にやっとこさで間に合った🙌
    大晦日のキミ宙小話。

    #キミと宙へ
    toTheAirWithYou
    ##tunapo

    キミ宙小話1 「寝落ち」「ポップっ、ポップってば」
    「ん?」
    ファミに呼ばれた気がして横を見ると、こたつの中で食べかけのみかんをよそにすやすやと寝息を立てている。
    びっくりしたぁ。てかファミ、こたつで寝たら風邪ひいちゃうよ。
    1時間前まで「ほらっ、もう少しで新年よ。おせちとお雑煮の準備をしなくっちゃ」なんて食欲のアクセル全開だったのに。ファミにしては珍しく食べ物よりも眠気がまさったみたい。
    ふわぁぁぁっっっっ…………
    とかいう自分もあくびしちゃった。そろそろ寝ようかな。
    「あラ、ポップさん、ファミ船長の顔に何かついてるんですカ?」
    いいや、Q子、そういうわけじゃ…………
    「ただ単にファミ船長の顔を見つめていたとでも言いたげですネー、そんなんだからポップさんはモテないんですヨ」
    Q子がこっちを振り向き、最近お決まりともなりつつある「モテない」発言をする。
    み、見つめていたとか誤解を招くような言い方はやめろっ。そんなみてないし。
    ていうか、人の寝顔を見るのってモテないことに繋がるのか?そこまで悪いことじゃなくない?
    「ファミ船長、ポップさん、Q子さん、ホットココアとオリーブオイルでぇす…………って、あれ?ファミ船長寝ちゃってるじゃないですかぁ!」
    自動ドアが開き、メインフロアに入ってきたナナさんの声の音量がファミを見た瞬間に一段階下がる。
    「ありがとう、これを飲んだらもう寝ようかな」
    ナナさんからホットココアを受け取り、一服。
    うーん、しっかりているけどやさしい味が体に染み渡る感じ、さすがナナさんが作っただけある。
    「ナナさん、気をつけてくださいネ、ポップさんはファミ船長の顔を覗き込んで何かしようとしていた危ない人なんですかラ」
    そう言って「あー生き返りますネー」とQ子がマグカップの中に入っていたマグカップを豪快に飲み干す。
    また事実にないことを言ってるよ全く……。そのおかげでナナさんが苦笑いしてるじゃないかっ。
    「あっ、あと十分ぐらいでお正月みたいですよぉ。船長年越しの瞬間にジャンプしたいって言ってらしたので、起こしましょうか?」
    あー、確かにそんなこと言ってたかもね。まだファミが僕の家の近くにある別荘に住んでた時も「ポップも飛んでね!」って誘われたっけ。いつまで経ってもファミは変わんないなあ。ま、でも……
    「いや、いいよ。最近ファミ疲れてそうだしぐっすり眠ってるみたいだから起こさなくていいんじゃない。僕がファミの部屋まで担いで行くよ」
    「え、いいんですかぁ!?」
    うん、だって力仕事はぼくの仕事だしね。ナナさんだっておせちの用意もあるだろうし。
    ……って、ナナさんの表情が硬いんだけど。
    「ポップさん、どさくさに紛れて船長の部屋に入ろうとするなんて流石ですネ」
    ……待てよ。そういやファミの部屋に入ったことあるっけ?
    そういや前ファミがスコツ星で倒れた時も入ったし、止められてるわけでは無いけど、勝手に入ったらヤバそう……というかここにいる女性陣の視線に突き刺される。
    えーっと、じゃあやっぱり申し訳ないんですけど、ナナさん、お願いできますか。
    ピピ、ピピ、ピピ、ピピ
    「あ、ごめんなさぁい、煮物ができたみたいですぅ」
    しかしナナさんは明日の朝食の準備忙しそうだし…というかもうキッチンの方に向かっている。
    じゃ、じゃあ、やっぱりぼくしかいないってことだよね。
    ぼくはそっとファミの方に近づき、起こさないように静かに抱き上げる。
    え?感想?体重については血をみる事態になるのでお断りします。
    「ん……ポップ……むにゃ……」
    まさか起きちゃった?起きないうちにさっさと部屋に運ばないと。
    やっとのことでファミの部屋の前につき、部屋を開けようとしたその時。
    「ふわぁ……よく寝たぁ……ってポップ!?」
    げ!起きちゃったよ!
    まだぼんやりとしているファミと視線がぶつかり、思わず目をそらしてしまう。
    「え、なんでポップがお姫様抱っこしてるの!?」
    いや、それは、あなたがこたつでぐーぐー寝てそろそろちゃんとしたベッドの上で寝させようとして修羅場を乗り越えて今の状況にある……はず。
    「もう、それなら起こしてよ。私自分で動けるわよ」
    「まあでも起こすのもあれだからね。めっちゃぐっすり寝てたし」
    ふくれっつらのファミをなだめようとしたその時ファミがハッとしたように顔を赤らめる。
    「えっと、じゃあポップは私の寝顔を見たってことね?」
    ああ……はい……、すいません。
    「まあ、別にいいけど。じゃあお休み。良いお年を」
    ファミ、もうすぐ新年なんだから「良いお年を」は遅いよ。
    ファミが自分の部屋のドアに手をかけ、ぼくが自分の部屋へ向かおうとしたその時、
    「ねえ」
    なぜか呼び止められ「はい」とびっくりして硬い返事をしてしまう。
    「あ、あの……運んでくれてありがとう」
    消え入りそうな声でポツリとこぼし、ファミはサッと自分の部屋に入ってしまった。
    なんか、すんごい恥ずかしそうだったけど……ぼくだってだっこなんかしちゃって恥ずかしいからな。
    さてさて、もう寝よう。明日の美味しいおせちにもそなえなくっちゃね。
    おやすみなさい!


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