Kalanchoe ベルが、鳴る。
一度。
二度。
三度。
軽やかで。けれど、深くて澄んだ音。今日のような、高く遠く澄み切った空の青に、相応しい音だと思った。
***
「結婚式をするぞ!!」
その、叶黎明の発言は前触れもなく唐突で、つまりいつもの通りの平常運転であった。
真経津と共に、獅子神と村雨が2人で暮らす家に、上がり込んだ直後のこと。
これもいつもの通りにパンを抱えた真経津は、呑気に「何着ようかなー」などと笑っている。
「は!?今からか!?」
「あなたたちは、いつの間に結婚したんだ」
「今から、じゃないぞ敬一くん常識で考えよーぜ明日だよ」
「ボクたちじゃないよ、叶さんは結婚に向いてないと思うな」
「オメーにだけは常識問われたくねーし明日でも非常識さは充分だよ!!」
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