星 校舎を出ると、もう空には星が光っていた。
「うわ、もうこんな暗いの? 俺たちだけでもさっさと帰ろうよ蘭丸。うるうも焔もまだ帰らないとかいうしさー」
風が冷たい。樹果と僕は一緒に帰ることになったようだ。歩いていても、自然に目が建物のや木の梢を探している。
「連絡すりゃいいじゃん」
僕の心を見透かしたように樹果がつぶやいた。
「コクっちゃったんだろ? 返事聞くの怖いなら聞いといてあげようか?」
「うーん……そういうことでもないような……」
返事を探しあぐねているとき、向いの団地の屋上に見知った姿があるのに気づいた。足が自然に止まる。横にいた樹果も、僕が何を見ているのか気づいたようだった。
「……あー、俺、学校に忘れ物してきちゃった。悪い蘭丸、先帰ってて! ていうかおじゃま虫になりたくねえし!」
700