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    huwakira

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    huwakira

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    #イデ監
    ideeSupervisor

    つむじすいっち なんか気が付いたら部屋に入り浸ってた監督生氏のつむじを押したらお付き合いが始まってしまった件。
     何を言ってるかわからないと思う。大丈夫でござる拙者も本気でよくわかっておりませんゆえ!!

     ほんとわけわかんないままに好きだと言われてお付き合いを提案され、その怒涛の勢いに押し負けて、思わずイエスを返してしまって、今ここ、って感じなんだけども。
     そのあと数日はまともに顔も見られないくらい緊張してたけど、そんなことなかったようにニコニコ遊びにくる本人見てたら、何となく馬鹿らしくなってようやく僕自身も普通に隣にいられるようになってきた。

    「先輩先輩、ここのアイテムってどうしたらいいですか」
    「ほぁっ え、そ、そこはえーと、三個前の右側のレバーの……」
    「え、あ、ほんとだ、まさかこんなとこに!! あざっす!!」
    「ひぇ……げ、げげ元気だね……」

     現在、ずっと彼だと思ってたのに実は彼女だったらしい監督生氏は、僕の足元、ベッドに背中を預けてぺたんと座り込んだ状態で、何代か前のイグニ生がお遊びで作ったらしい脱出ゲームをちまちまと進めている。
     謎解きはゆっくりだけれど、何気に勘が鋭いのか割かしいいペースで進んでいるため、会話らしい会話は特にないまま、部屋の中には特有のピコピコ音楽とお互いの呼吸音、そして常設されているマシンの稼働音くらいしか聞こえない状態だ。
     性別カミングアウトで気が緩んだのか、たとえ真夏日でも断固として崩さなかった服装は、今はよりによって襟首の伸び切ったTシャツと短パンという、首筋と腕と足の細さと白さが目に突き刺さるような薄着。
     いや、その上下、用意したのは拙者でしたけども!! 部屋着がないっていうから、着古したのでよければあげるよ、なんて、お、おにゃのこにこんなぼろっぼろの古着とかありえないだろほんとあの時の拙者爆発しろ!!

    「あ、あああのさ、ゆ、か、監督生氏は……」
    「もー、ユウでいいですってば。最近はユウ氏って呼んでくれてたのにー」
    「む、無理言わないで……このど陰キャコミュ障がそんなお気楽に距離詰められるとお思いか」
    「じわじわ距離詰めたつもりだったんですけどね!」
    「嘘乙」

     めっちゃぐいぐい全力で距離を詰めてきた癖になにを言ってるのかこの子は。こっちがどれほど不安と期待と混乱と歓喜で情緒ツイステッドしてたと思ってるの。

    「で、なんでしょ? あ、煩かったです?」
    「や、え、えええと、な、なんでもない、です……別にうるさくないでしょ、むしろ今日は静かじゃん」
    「ふふ、ですね。このお部屋から脱出できたら、お話してくださいー」
    「……う、うん……」

     たしたしとボタンをタップする指も、ゲーム端末を抱え込んだ手のひらも、目に入るものすべてが華奢で小さい。どう見たって女の子だよね。周りの連中気づいてないって嘘じゃない?
     地味で華やかさはないっていうけど、サラサラの黒髪も、ふっくらした頬も、メガネの向こう、実は意外なほどぱっちりしたくっきり二重の大きな茶色の瞳も、意識してしまえばどうしようもなく可愛らしく見えてしまって。
     噓でしょ、ほんと、いつから僕、こんなにこの子のこと……。

    「先輩先輩、みてみて!! 脱出できました!」
    「ぴゃっ い、いきなり大声は勘弁ですぞ?! ん、よ、よかった、ね」
    「ね、ね、一応ランキングにお名前入りますよ、ほめてください!」
    「は?! マ?! うっわ、マジだ、これ地味にイグニ内ではやったからそれなりにRTAされてたのに」
    「ふっふー、ね、ね、ほめてください!」

     キラキラと期待に満ち満ちた、安心しきったその笑顔に、じわり、と沸き上がったのは、少々口には出せない狂暴な気持ち。
     なんだよ、君からす、好き、とか言い出したくせに、なんでそんなにいつも通りなわけ?

    「ご褒美に撫でてくれていいんですよー、なんて……」
    「ふぅん……」

     にしし、と、どこかの副寮長未満の後輩みたいな笑い方をされて、ぷち、と聞こえたのはなんの音だったか。

    「…………せ、んぱ……?」
    「なに、ご褒美、欲しかったんでしょ」

     手のひらにすっぽり収まる小さい頭を少々強引に引き寄せて、少しだけかさついたピンクの唇に一瞬だけ自分の青いソレを重ねて。
     途端にぶわりと自分の顔も、髪も、首まで一気に熱く赤くなったのはわかったけど、ああああああやっちまったなにしてるの自分馬鹿なの死ねよほんっとこれだから他人との距離感バグったオタクは!!

    「……嬉し……」
    「は……」

     しばし呆然としたあと、何が起こったか理解したのか一瞬で僕と同じくらい耳まで真っ赤になった監督生氏は、珍しくうろうろと目線を泳がせた後、ぽつりと小さく呟いて、そろりと指先で自分の唇に触れた。

    「い、いいいいいや、じゃ、ない?」
    「嬉しい、です。で、でも、あの」
    「なななななに?! あ、賠償とか?!」
    「い、一瞬すぎて、よく、わかんなくて……あの、も……いっかい……」
    「ぴぇ」

     そのあと、一回どころか、ユウ氏の唇がぽってり腫れるくらい繰り返したのは、まぁ、必然ですわ。



     ていうか、告白は勢いだったけどずっと好きだったとか、話しかける前に必ず深呼吸してるとか、部屋にいるときめっちゃ緊張してるとか、言ってくれなきゃわかんないんだけど!!
     次からは申告して!!!






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