セフレだと思ってるゆちゃと恋人のつもりのジャン(ジャン視点)御神苗と恋人になった。
タン…!
単発銃の音を最後に静寂が辺りを支配する。
敵勢力の残存を一掃して、俺と御神苗の荒い呼吸だけしか聴こえない。
肩で息をしながら振り返ると、背中合わせで戦っていた御神苗と目が合った。
返り血で顔半分と体中が血塗れだが御神苗が殆ど怪我を負っていないのは匂いでわかる。
新しい御神苗の血の匂いは殆どしていないからだ。
AMスーツを着なくなった最近の御神苗は感覚が研ぎ澄まされたらしく、総括すると怪我は減った。
器用に色々なものを避けるし、後ろに目があるかの様な動きもする。
しかし傍から見ていて筋力や持久力は落ちた様に思う。
正面からの攻撃を避けきれずに受ける様子は見ていてハラハラして、やはり俺が居ないとコイツは死ぬんじゃねぇかとゾッとする。
周囲の木立からは風が草木の葉をざわめかせる音こそすれ、獣人特有の俺の嗅覚にも聴覚にも生きた生物の気配も匂いもしない。
「ジャン…終わったか?」
「そうだな。オレの感覚じゃ、周りには誰もいねぇ」
「そっか…じゃぁ、ま、一掃したか」
息をついた御神苗が一瞬揺れた視線を外す。
ほかの人間なら胡麻化されるんだろうが、獣人の動体視力には一部始終が見えている。
なんだ?
そう思った時には俺の忠実なはずの右手は御神苗の顎を捉えていた。
顔を背けた御神苗の視線を引き戻す。
「えっ…」
誓って言うが、揺れた視線の理由を探そうと思っただけだった。
見開いた目をのぞき込んで御神苗の感情を知りたいと思って、思って、気づいた時には口付けていた。
限界まで近づいた御神苗の瞳は同じく限界まで見開かれて、状況が理解できていないのは明らかだ。
ゴトッ。
御神苗が先ほどまで構えていたはずのファイティングナイフが地面に落ちた音がした。
自分が取り落としたくせに、その音に御神苗の体が跳ねる。
ちゅ。
わざとリップ音を付けて唇を離した。
掴んでいた顎も開放する。
何が起こったのか理解出来ていない様子の御神苗が凝視してくる。
今のは全面的に俺が悪い。
殴られるだろうから殴られてやらなければ。
反射的に避けないように…と自分の動きを止めようとした所で、両手で顔を固定され今度は御神苗が唇を押し付けてきた。
目を閉じた御神苗の顔が至近距離にある。
黒い色の所為なのか、御神苗の長いまつ毛がよく見えた。
起こった事が信じられずに無防備になった俺の嗅覚が、興奮している御神苗の汗の匂いを嗅ぎ取った。
後頭部から首までの肌がチリチリと逆立つような感覚。
酩酊にも似た感情の上昇。心拍数が跳ね上がり、体温も息も上がる。
コイツも俺の事が好きなんだと直感が告げる。
唇をずらして、は…と息を吐く。
下唇を食むと緩んだ口内へ舌を滑り込ませた。
歯列をなぞる。
「んぅ…」
御神苗のあえぐ声に自分が煽られたのがわかった。
好きだった。
ずっと見ていたのに、御神苗が俺を好きだとは気付かなかった。
御神苗の腰に手を回し引き寄せ自分の熱を押し付ける。
相手の熱を感じ、直感が確信に変わった。
「…ジャン…このまま抱いて」
息の上がった御神苗がため息のようにつぶやいた言葉が耳に届く。
「こんな所で…」
互いに想っていたとわかって興奮している。だが、双方血濡れでムードも何もない。
「死者は邪魔しない…から…」
名残惜しく撫でていた腰のくびれから手を離す。
御神苗のボトムのベルトを外し、下穿きまで一緒に引き降ろした。
俺の肩に回っていた御神苗の両手が降りてくる。
俺のベルトを外し、少し苦労しながらカーゴパンツのボタンを外してゆく。
3つ程外したところで震えながら冷たい手が下着の中へ入って来た。
俺の熱が御神苗の手に移っていく。
そのまま窮屈な下着から開放され、御神苗が自分のモノと一緒に扱く。
互いの先走りでちゅくちゅくと水音がし始め一層興奮を掻き立てられた。
双丘を両手で包み込んで優しく揉み、指を窪みに往復させる。
「あ…」
「いいか?」
「はやく」
ゆっくりと御神苗の体内に中指を埋めた。
「やわらかいな…」
ピー
そこで無情にも無線に通信が入った。
反射的に体を離す。
「っ…ジャン…!」
「生者に邪魔されたな。仕舞え。続きは戻ってからな。」
終