ファーストインプレッション『見つけた』
一目見てそう思った。
思考じゃない、本能が告げる。
『番だ』『あれは俺のものだ』
体中の血が獣人化の前のようにザワザワとして沸き立っている。
気づいた時には胸倉を掴み引き寄せていた。
大きな黒い目がより大きく見開かれる。
象牙色の肌、長いまつ毛と濡れたような不安げに揺れる黒い瞳。
「…?ーーーー男か?」
思考する前に口から言葉が出ていた。
「っ!!放せよっ!!」
瞳がひときわ見開かれたと同時に手を振り払われて呆然とした。
だが本能はコレが番だと叫んだままだ。
『番だ。離すな。手に入れろ。肌に触れ、巣に閉じ込めて孕ませろ。今すぐに。』
血がざわついたまま、肌がピリピリする。
キッと睨まれて、番の視線が俺だけに向けられている事に歓喜する。
364