宇宙人と浮気も結婚もしないでください※少しだけ文字化けの表現があります
恋人のフェルディナント殿が宇宙へ旅立ってから、もうすぐ半年が経とうとしている。
人類による技術の発展はめざましく、天文学が進歩したことで新たな惑星がいくつも発見された。そしてフェルディナント殿は、惑星の調査チームに抜擢されたのだ。
彼の活躍はニュースで知るだけでなく、最先端の技術を駆使したテレビ電話で直接聞かせてもくれる。数ヵ月前には、観測すらされていなかった星を彼が新たに見つけたそうだ。『星の名前を決める権利をもらったので、ぜひ君の名前を付けたい』と言われたときは困惑したが、離れていても自分を想い続けてくれている証左のようで少し嬉しかった。
触れられない距離にいる恋人を想うと寂しくはあるが、大義を背負って宇宙を飛び回る姿はそれ以上に誇らしい。帰還はまだ先だが、火星にいるよと言われた夜は紅い光を探し、金星に着いたと教えてくれた夜は、宵の明星を眺めながら無事を祈って、私は日々を過ごしていた。
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