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    風呂_huro

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    風呂_huro

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    京関

    愛のピストル「このピストル、弾が出ないよ」
     関口はそう言って何回も銃の引き金を引いた。その力強い指の動きにも、かしゃりと呆気ない音が響いてくるだけだ。
    「だから言ったじゃないか。そう易々と初心者が扱える物じゃないんだよ」
    「でも京極堂は撃てるんだろう?もう一度やってみせてよ」
     僕は関口の手から銃を奪い取ると、左手で茶を啜りながら、右手で関口の真横に向けてたっぷりと引き金を引いた。ズドン、と音がすると壁際にあった酒瓶が見事に粉々になった。
    「ほら。弾は装填されてるだろう」
    「何でかなあ。僕がやるとどうにも駄目なんだよなあ」
     僕は銃口から出た薄い煙を吸って、顔をしかめながらまた銃を関口に返した。納得がいかないという顔で、関口は銃身をしげしげと眺めている。僕は茶を飲みきって一息つくと、机に並べた銃の説明書をばさりと広げた。
    「よく見てみろ。覚悟のない者は撃てませんって、堂々と書いてあるじゃないか」
    「ああ、本当だ」
     僕が指さす先には重々しいピストルと〈恋の弾丸〉の絵が描いてある。
    「君に恋愛は無理だね」
    「僕だっていつか撃てるようになるよ」
    「どうだか」
     関口は悔しそうに頬を膨らませた。関口が拗ねたので、僕は思わず笑ってしまった。
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