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    風呂_huro

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    風呂_huro

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    磯金

    逢瀬 行きずりの宿の二階で、金田一は先に床に入った。磯川はまだ窓辺で紫煙を燻らせており、ふうと煙を吐き出す呼吸を聞きながら、金田一はうとうとと夢の中へ入りこんでいく。
     すると金田一の頭上の方で、ぎし、という畳が踏みしめられる音が聞こえた。それは狙いすましたように――磯川が、ゆっくりと金田一の身体に覆い被さってくる。ずしりとした体重を感じた途端、金田一はドキリと心が高鳴った。温かみのある、雄の身体だった。
    「やっ…磯川さんッ…!そ、そんな、ずるいっ…!」
    「狡い?なしてじゃ」
     夜の月明かりで仄かに見える金田一の表情は、赤く染まり、恥じらいに満ちていた。
    「い、いっ磯川さんっ…僕が、欲しいの、全部知ってるんでしょう…?」
     潤んだ目で見上げる金田一を見て、磯川はニイと笑った。長年の経験を知り得るような、それでいて穏やかな笑みだった。
    「わしぁ、素直なんが一等好いとるんじゃ」
     そっと身体を押し退けようとする手ごと、じっくりと圧し掛かり、磯川は笑う。
    「あんただけじゃけえ、金田一さん…」
     金田一はもう根負けしたかのように、恥じらいからは無縁となって、自分から磯川に顔を寄せて唇を求めた。磯川はそれに満足そうに答え、深く舌を絡めながら、久々の逢瀬を心ゆくまで楽しもうと、二人の身体は夜に溶けていくのだった。
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