Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ユウキダ

    @Marimo_21077

    主にrgnd
    当然のように創作救がいる

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 26

    ユウキダ

    ☆quiet follow

    のんびり平和なぎゅ救の文 いろいろガバガバ
    もう魂がどうとかそんなことは全く気にしてないです
    前に描いた絵と一緒に考えてたやつ

    今日は特に騒ぎもなく、穏やかな一日だ。
    牛鬼も暇なのか、朝から俺の部屋でゆっくりくつろいでいる。
    俺は倉から借りてきた古い書物を読み、牛鬼は俺の隣で静かに寝息を立てて眠っていた。

    「(……かわいい)」

    牛鬼の無防備な姿に思わずそう思ってしまう。
    普段はあんなにも威圧感があるというのに、今はまるで子供のようなあどけない表情をしている。

    「ん……」

    すると牛鬼が寝返りをうち、こちら側に顔を向けた。
    そしてそのまま再び眠りにつく。

    「(こんな風にぐっすり眠ってるのも、俺に心を許してくれてるからなんだろうな)」

    そんなことを思いながら、牛鬼の頭を優しく撫でてやる。
    すると牛鬼は気持ちよさそうな声を出した後、また規則正しい呼吸を始めた。
    その様子に思わず笑みを浮かべてしまう。

    「(……よし、今日中にこれ読み終えちゃお)」

    そして俺は再び本へと視線を落とした。

    ────────────────────

    書物も1冊目を読み終え、2冊目を読み始めた頃だった。

    「ん〜……」

    寝ぼけた様子の牛鬼が寝たまま抱きついてきた。
    牛鬼はそのまま、俺のふとももに頭を置いた。

    「えっと……牛鬼?」
    「…………はよ」

    牛鬼はうっすらと目を開けて、ぽつりと呟いた。

    「おはよう、ぐっすりだったね。よく眠れた?」
    「……まだねみい」
    「ふふ、そっか。寝てていいよ」
    「おー……」

    そして牛鬼は目を閉じた。しかし、どうやらまだ寝てはいないようだ。
    すると牛鬼は小さく口を開いた。

    「……お前、あったけえな」
    「そうかな? でも確かに人より体温高いかも」

    そう言いながら牛鬼の頬に手を当てる。

    「牛鬼はひんやりしてるね」
    「おう」
    「冷たいけど気持ちいいよ」
    「……ふーん、そうか」

    しばらく沈黙が続く。
    すると牛鬼はむくっと起き上がり、俺の後ろから包み込むように抱きついてきた。

    「牛鬼、今日はどうしたの? 動けないよ」
    「別にいいだろ」

    そのまま牛鬼は俺の首筋に顔を擦り付けてくる。
    俺はそれを優しく受け止めていた。

    「(なんか猫みたい)」

    そんなことを思いつつ、俺は本を読み進める。

    「彼方」

    耳元でぼそりと呟く声が聞こえた。

    「なあに?」
    「好きだ」
    「んー? 俺も大好きだよ」
    「愛してる」
    「……もう、照れるなあ。ほんと今日は甘えん坊だね」
    「るせ」

    そう言って、牛鬼は俺を強抱きしめる力を更に強める。

    「……なあ、彼方」
    「ん?」
    「いなくならないでくれよ」

    俺の首筋に顔をうずめたまま、弱々しい声でそう呟いた牛鬼に少しだけ驚いた。
    顔は見えないが、こんなに不安そうな牛鬼は珍しい。というか見たことが無い。
    きっと今の言葉は、今まで大切な人を失ってきたが故の恐怖からきたもので──

    「……いなくならないよ、絶対に」
    「……」
    「俺はきっと……死ぬまで、君と一緒にいるから」
    「……ん」

    安心させるように、ゆっくりと頭を撫でてあげる。
    牛鬼はそれに応えるかのように首筋へキスをした。

    「んっ……」

    少しこそばゆい感覚に、思わず声が出てしまった。
    それに気をよくしたのか、何度もそこに唇を押し当てる。

    「ちょっと、そこばっかりやめてよ……」
    「嫌だ」
    「え〜……」

    結局その後も、牛鬼は俺から離れようとしなかった。

    ────────────────────


    彼方と俺は、種族が違う


    人間と妖怪、姿も違えば、生きる時間もまるで違う
    人間は脆くて弱い。その上、妖怪に比べれば人間の寿命はずっと短い。
    そしてそれは、いつか必ず、コイツは俺を置いて死んでしまうということであって。
    それが、酷く恐ろしく感じた。

    「(…………弱くなっちまったな、俺も)」

    自分よりずっと小さくて細い彼方の体を抱きしめながら、そんなことを考えた。
    服越しに彼方の体温を感じる。その温かさに包み込まれるような気分になった。
    手離したくない。そう思うと、思わず彼方を抱きしめる力を強めた。
    たとえいつか俺を置いて死んでしまうとしても、今は、今だけは、この幸せな時間を噛み締めていようと思った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖👏💖✨✨
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works