2センチの背伸びで3歳上の景色が見えるかい 界境防衛機関ボーダーにある食堂兼ラウンジは、こちら側の世界を侵略しようとする近界の敵国の攻撃に備えて、日々防衛任務や、鍛錬に明け暮れているボーダー隊員が憩いの場だ。防衛任務や鍛錬の合間に休息をとる目的で来るものが多い。
鈴鳴支部所属の攻撃手である村上鋼は、本部に鍛錬のための個人ランク戦を行いにやってきていた。何人かとの対戦の後、休息を取ろうとラウンジに入る。辺りを見回すと、奥の方のテーブルに同い年で狙撃手の穂刈篤、銃手の犬飼澄晴がいた。友人たちとゆっくりできる時間は貴重だ。村上はその足で二人がいるテーブルに向かった。
「何話してるんだ?」
村上が声をかけると犬飼がパッと顔を明るくして同じテーブルに座るように誘ってきた。
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