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    bach_otamama

    @bach_otamama
    普段はFGOヘクトール受メインに小説書いてます。アキヘク、タニヘク、マンヘク多め。こちらはメギド72ロキマネなどFGO以外の作品を上げていく予定です。

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    bach_otamama

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    罪人イベ後のカイムとバールゼフォンの話。
    似顔絵の件はバールゼフォンの耳に入るんじゃないかなと思いまして。
    ほんのりベルイム風味。
    バールゼフォンは恋愛性愛には興味なく、画題として魅力的かそうでないかでみてるイメージがあります。

    赤炎のトラゴーイディア カイムがアジトを空けていた間に、随分書類や雑多な品が溜まっていた。メギドの多くは整頓が苦手で、掃除などのできる者は少ない。

    書類を分類し、雑貨類は持ち主が持っていけるように箱へ入れる。しばらく置いて、持ち主がいなければ燃やしてしまえばいい。
    「ふう」
    整頓を終えたカイムは息をついた。
    「紅茶でも飲みたいところですね……おや」
    大きな帽子とまだらの服がカイムの目に留まった。
    「はて、整頓は終えたはずですが随分と大きな」
    「わかってて言ってるだろ」
    バールゼフォンが頬を軽くかいた。
    「また絵を描いていたんですね。それは構いませんが、手を洗っていらっしゃい」
    乾き切っていない絵の具がバールゼフォンの頬にまだらの模様を描いた。
    「実はさっき描き終えたところでさ。それで、あんたがいると聞いて」
    「私に何か?」
    首を傾げるカイムへ、バールゼフォンは目を伏せた。
    「その、前によう、俺がみんなを描いた絵があったろう?」
    フルカネリ商会の依頼でソロモン達の似顔絵を描いた。フルカネリとの決着は一応ついたがバールゼフォンの描いた詳細な似顔絵は今でもカンセとセリエが悪用している。
    「マルコシアスから聞いたんだよ。その」
    「ああ、そのことですか。我が君の絵姿が悪用されるのは許しがたいことです」
    「それもそうだが、その、悪かったな」
    ロキのように当時ソロモンと契約していなかった者は別として、不在の領主に代わってトルケーを仕切っていたベルナールの手にも似顔絵はいきわたっていた。カイムはかつての友ベルナールに悪魔と断じられた上に捕らえられ、運よくハルファスを知るヘレシーの助力を得られなければソロモン達も危うかった。さらにパラジスによって幻獣化させられたとはいえ、ベルナールをカイムはその手で討った。その決意こそがリジェネレイトの引き金になったと聞いている。戦争に生きるメギドとしてのバールゼフォンは同じ軍団の者が強くなったことを喜べるが、画家としてのバールゼフォンは自らの絵が悪用されたことに、それで起こった悲劇に、言葉にできないわだかまりを抱えている。

     謝罪を受けたカイムは胸の花に手をやった。
    「ベルナールはあまりにも善良だったのです。すべてをこの悪魔のせいにしておけばよいものを」
    「カイム」
    「詫びなどいりませんよ。死んだと思っていた彼に、私はもう一度会えたのですから」
    涙は炎で焼き切った。たとえ、その再会を悲劇だと他の誰もが言ったとしても、再会しなかった方がいいとはカイムには思えなかった。ベルナールを忘れることはないし、薔薇の棘に似た胸の痛みはカイムだけのものだ。それを誰かに測らせるつもりはかつても、これからもない。そっと笑みを張り付けて心を隠す。
    「俺もついてきゃ良かったな」
    バールゼフォンの返事にカイムは首を傾げた。
    「あなたが来たところで結末を変えられるとでも?」
    「そこまでうぬぼれちゃあいないさ。ただ」
    「なんです?」
    「いや、お前さんの髪を見てたら赤い絵の具をそろそろ買わなきゃならねえのを思い出ししまってさ」
    「画材は自己負担でお願いしますよ」
    「へいへい」
    バールゼフォンは肩をすくめた。
    (その様子を描いてみたかったとは言えねえな)
    さぞかし美しかっただろう。画家として、火傷してでも手が動く限り、手が使えなければ筆をくわえてでも描いてしまわねばならぬほどに。しかし、きっととびきりの赤がいる。その赤を出せるだろうか。いや、出してみせる。傾く夕日に照らされたカイムの髪を見ながらバールゼフォンは思った。
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    bach_otamama

    DOODLE〆でも観○少女パロをついに書いてしまいました。プランツロキとマネージャーの出会い編。ナナシというのもなんですが、さすがにマネージャーという名前にするのは無理があったので……そこらへんももし続きを書けたら書きたいです。
    観用召魔 歌声が聞こえた気がして、ナナシは周囲を見渡した。しかし、辺りには声の主と思しき人影は見られない。気のせいかと思って歩き出すと、また声が聞こえた。
    「あっちの方か」
    振り切って歩こうとすると声が気になってしょうがない。歌は少し前に流行った歌で、ナナシも好きな歌だ。だが、好きな歌だからといって、声の主を探したくなるようなことは今までは一度もなかった。

     不思議と彼の心を揺さぶる歌声に引きつけられ、声をたどって歩き出す。気づけば、普段は通らぬ小路に入り込んでいた。
    「メギド72?変わった店名だな」
    瀟洒な建物の前には、店名を記した小さな看板があった。だが、重厚な紫檀のドアといい、漆喰を塗り重ねた壁といい、堅固な作りの建物はとても歌声が漏れ聞こえるようには思えない。以前には劇団を率いていたので、音響などには多少の知識がある。そして、近くにいたわけでもないナナシにも聞こえるような歌声ならすぐ近くに来たらさぞかし大きな声だろうと思うが、音量は先ほど聞いた時となんら変わらない。
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    bach_otamama

    DOODLEベルイム。大遅刻ハロウィンすみません。惨劇前の例えば、な一日です。
    東方イベで各地域や職務担当のハルマがいるみたいなことをお出しされたのと、異端審問官がハルマの作った組織なあたりからの捏造や想像を含みます。
    時系列は明記されていませんが、トルケーの惨劇を10年ほど前、カイムが母親と別れたのはハルファスと同じ14,5歳くらいと仮定しています。
    I'm a wizard 陽光を紡いだような美しく長い金の髪と蒼天の瞳、彫りの深い端正な面差し。冷たく冴えた冬の晴天のような美貌はいかにもハルマらしい。一方で、調和を良しとする彼らには珍しく、長い髪を奔放に背へ流し、白い服も大きく着崩している。
    「一週間後はハロウィンだ。クロウタドリ達も自由に歌っていいだろう?なに、担当者の許可は取っている。たまには楽しみたまえ」
    ミカエルと名乗ったハルマは審問官たちへ片目をつぶってみせた。
    「そういう問題でしょうか」
    「とかく君達は誤解されやすいからね。祭りに参加して市民たちと交流するのも大切だ」
    飄々とした男に反論できるものはいなかった。

     大地の恵みが見える者、人ならざるモノをその身に宿す者、理由などないが他者と交わって過ごすことに苦痛を見出す者。そうした者が時折、異端と断じられることがある。異端審問会は、そのような人々が虐げられる前に、あるいは他者を傷つけてしまう前に保護するためにハルマが作った機関だった。パクス・ハルモニア。追放メギドはもちろん、そうでない者も含め、調和や統一をヴィータへも求める彼らにとって異端者は時に和を乱し好ましからぬ事態が起こる。だからこそ保護し、遠ざけて彼らも残る者も暮らしやすいようにする。しかし、遠ざけるがゆえに誤解を招いた。異端審問は異端者への対応が集団生活で避けられぬストレスや心的不安と重なった際に、審問という名の他害へ名分を与えてしまった。事実、ボダン村など誤った異端審問の他害はずっと残り続け、異端審問会はひそかに恐れられている。彼らがクロウタドリと符丁を使うのも、異端審問への誤解からあらぬトラブルを避けるためでもあった。しかし、知らないことは誤解を生む。未知は恐れを生み出す。誤解を解くように、知ってもらうようにと仮装してハロウィンへ参加するというミカエルの提案を審問官たちは受け入れた。
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