ヘンリックと言う男ヘンリックと言う男
獣狩の夜家々は門戸を固く閉ざす。
ただの人の身では獣の餌食にしかならない。
そんな事は誰もが分かっていた。だから獣除け香を焚き震えて嵐が過ぎ去るのを今か今かと待つ。
狩人達以外は。
ヘンリックは何時も相棒と共に獣を狩っている。
彼とて最初から相棒と共に狩りをしていた訳では無い。
相棒…ガスコインは外から着た余所者だ。この街では余所者には酷く手厚い歓迎をする。
獣を狩れない者達が狩人…特に余所者の狩人をどの様に悪様に対応をしようがヘンリックには関係が無かった。
ガスコインが自分の娘ヴィオラと結婚する迄は。
ある獣狩の夜が明ける頃、自宅に戻ると娘が起きて待っていた。
不安で眠れないと昔から言う娘だったので今回もそうだろうと思っていた。
1023