独歩と一二三夏休みにステップアップするってよ【お泊り当日】
お泊り当日、一二三は昼前に独歩の家に向かった。午前とは言っても八月の高い太陽が容赦なく照り付けてくる。独歩の家が向こう側にある大きな通りの、少し長めの信号待ちでは日陰がどこにもなくて、トースターで焼かれるパンの気持ちを知ってしまった。
歩き慣れた独歩の家への道なのに、一歩一歩近くなるたびになんだか緊張してしまう。一二三は足元を見つめて、帰りはどんな気持ちになっているのかな、とドキドキした。
独歩の家に着くとすでに家族は出かけたようで静かだった。
「あれー、もうみんな出かけたの?」
「いや、昨日の夕方に出たんだ。あっちで今日の朝から動きたいって」
「じゃあ独歩は昨日の夜から一人じゃん。寂しくなかった?」
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