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    @7_kankankan_100

    気の赴くままに書き物。今はエク霊、芹霊。(以前の分はヒプマイどひふです)
    正しい書き方はよく分かっていません。パッションだけです。
    書きかけ多数。

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    @7_kankankan_100

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    どひふ夏休みステップアップ話の4週目お泊り当日の日中です。
    ピクシブにアップする時は手直し入るかも。
    (書きっぱなしです)

    #どひふ
    servant

    独歩と一二三夏休みにステップアップするってよ【お泊り当日】


    お泊り当日、一二三は昼前に独歩の家に向かった。午前とは言っても八月の高い太陽が容赦なく照り付けてくる。独歩の家が向こう側にある大きな通りの、少し長めの信号待ちでは日陰がどこにもなくて、トースターで焼かれるパンの気持ちを知ってしまった。
    歩き慣れた独歩の家への道なのに、一歩一歩近くなるたびになんだか緊張してしまう。一二三は足元を見つめて、帰りはどんな気持ちになっているのかな、とドキドキした。
    独歩の家に着くとすでに家族は出かけたようで静かだった。
    「あれー、もうみんな出かけたの?」
    「いや、昨日の夕方に出たんだ。あっちで今日の朝から動きたいって」
    「じゃあ独歩は昨日の夜から一人じゃん。寂しくなかった?」
    茶化すように一二三が独歩の顔を覗くと、手が伸びてきたので頭をはたかれるかと思った。きゅっと目を閉じて待ち構えた次の瞬間、独歩は指でそっと額に触れてきた。予想外のことで何をしたのか分からないでいると
    「外、暑かっただろ。汗が滲んでる」
    「あんがと……なあ、先に宿題するだろ。終わらせちゃおうよ」
    夏休みに入ってからずっと優しい独歩。一二三は独歩の優しさは甘い毒みたいだと思っていた。独歩に優しくされると独歩のことしか考えられなくなって、もっと独歩との時間を欲しがってしまうからだ。それぐらいに柔らかな眼差しで見つめられるのが心地良い。独歩の宝物にでもなった気分だ。
    せっかく誰もいないので、広いリビングで宿題をした。
    宿題が終わると二人は晴れて自由の身となった。独歩のことだから夏休みのこの後も自学するだろうし、一二三もちょっと付き合うだろう。それでも課題の方を気にする必要がなくなったのは随分と気持ちが軽い。
    一二三はすすす、と独歩に近寄ってごく軽いキスをした。何週間もキスを交わす中で、色のあるキスとそうでないキスの違いが出てきて、一二三はこの挨拶のようなキスが気に入っていた。好きの気持ちを込めるキスともまた違って、胸に小さな花が咲いたようなあったかい気持ちになれる。離れる瞬間、独歩がふふっと笑ってかわいいなと思った。
    「宿題終わったな。昼ご飯食う?」
    「ああ、それなんだけど、母さんから一二三に手紙があるから先に読んでくれって言ってた」
    その手紙を受け取ると一二三は目を通す。
    内容は、家の中の物をなんでも使っていいし、冷蔵庫の中の物で足りなかったら買い足して構わないということだった。
    言われた通り冷蔵庫を開けさせてもらって中を確認すると割と食材が揃っていて、もしかして買い物を済ませておいてくれたのかもしれない。
    「お金はここに預かってるぞ」
    独歩は、一通り確認し終わった一二三にキッチンの引き出しから出した封筒を掲げた。
    「りょーかい! 独歩のママに監督するって言ったから、昼ご飯ちゃんと二人で作るぞ。 なんか食いたいもんある?」
    「う……苦手だけど頑張る。簡単だから素麺がいい。この前のまだ残ってるし」
    「食べたいもんつーか、作業効率で選んだか。まあ手始めにそれにしよっか」
    一二三も独歩も勝手の分からないキッチンで、菜箸はどこだおろし金はどこだと、あれもこれも探しながら作業を進めた。独歩に包丁を持たせるのは心配だったので今回は一二三が薬味を切り、その間に素麺を茹でてもらう。
    「一二三、お湯こんなに必要なのか? 多くないか」
    「少ないと吹きこぼれやすいし、麺がくっついちゃうよ。たっぷりのお湯で茹でるのがいーの。独歩ってレシピ見たことある?」
    「レシピ?」
    「作り方のこと。料理苦手な人ってレシピ通りに作れば上手くいくって聞くから」
    「そういえば見たことないな。家庭科でやったのも全部忘れたし」
    「じゃあさ、俺っちと練習して最終日に自分だけでレシピ通りやってみたらどう?夏休みの宿題にレポ提出しなよ」
    「小学生じゃないんだぞ……でも、それいいかもな」

    昼食を終えるとレンタルショップへ映画のDVDを借りに行った。
    あまりの日差しに、独歩もトースターで焼かれるパンの気持ちが分かると言うので、一二三はじゃあ俺っちはバターね! と言って独歩にくっついた。バターってなんだ、と独歩は可笑しくなってしまってケラケラ笑う。本来なら暑いからくっつくな! と言う場面だが、こんなにも暑いとなんでもよくなってくるし、なんでも楽しくなってくる。言動が陰気だと言われがちな独歩だって夏だけは太陽の明るさに背中を押されるのだ。
    レンタルショップの帰りにはコンビニに寄って大きなポテトチップスを一つとそれぞれ違うジュースを半分になったら交換しようと相談しながら買った。夏休みを謳歌するのにぴったりのアイテムを手に入れた二人は意気揚々と帰宅した。
    リビングの大きいテレビで見ても構わないのに、一二三が慣れているからと独歩の部屋で見たいと言った。すると独歩はどこか違和感のある態度で部屋に通してくれたがその意味は部屋に入った瞬間に気付いた。
    「独歩の部屋が片付いてる⁉︎」
    片付けが苦手だという独歩の部屋は大抵床の上に色々な物が置かれているが、雑誌もCDも積まれていなければ服も山になっていない。この部屋は元々広かったのかと一二三はぐるりと見回した。
    「すっげーキレイじゃん、どーしたの?」
    あまりの変わりように一二三が少々興奮気味に独歩へ振り返ると「当然だろ」と呟き、続けて
    「セッ、セセ、セックスするのに汚い部屋じゃあな……」
    めちゃくちゃどもった。独歩はなんでもないふうに言ったが、明らかに動揺しているどもり具合だ。
    独歩は口にするには難易度の高い単語をなんとか言ってのけたが、内心は心臓がバクバク鳴って今にも恥ずかしさで駆け出してしまいそうだった。
    一二三が面積の小さな下着を買っている頃、独歩もこうして準備として部屋を片付けていたのだ。普段親に口を酸っぱくされて言われてもなかなかできない片付けを一二三との時間のために必死になって苦手な片付けに向き合っていた。
    積まれていた本は本棚へ、山になっていた服はきちんとハンガーにかけてクローゼットへ。長らくほぼ空の状態だったクローゼットはようやく本来の使い方をされたのだった。
    独歩のその一言に一二三は身構えて一瞬足が止まってしまった。もうすぐこの身を全て独歩に明け渡して、自分も独歩の全てを知るのだと思うと早くも胸が高鳴り始める。しかし、まだ何も話し合っていないし、今からするのは映画鑑賞なのだから、と一二三は自分に言い聞かせてできるだけなんでもない様子を装った。つもりだった。
    「やればっ……で、で、できるじゃん!」
    めちゃくちゃどもった。一二三まで動揺を隠しきれなかった。
    二人してぎこちなく部屋に入って、ぎこちなく映画を見始めて。でもちっとも内容なんて頭に入ってこなかった。父からのお下がりだという独歩のノートパソコンの前に隣同士で座って、おそらく三十分も見ていないだろう頃に一二三が独歩にぴったりとくっついた。どちらも意識しているものだから言葉なんて交わす必要もない。独歩は様子を見るだけのつもりだったのに、画面に向いていた視線を一二三に向けるといつからだろうか一二三の視線には既に熱がこもっていた。
    独歩は堪らなくなって、一瞬で一二三をベッドに押し倒した。
    一二三は期待すると唇をきゅっと結んで切ない顔をする。独歩はこれを一二三のエッチな表情と認識していた。マウントポジションで見下ろす一二三のこの表情は格別だった。
    「独歩と……たくさん遊べる時間があるって思ったのにな。こんな明るいうちからこんなことばっか考えちゃってさ、俺っちってスケベなんかな……」
    一二三は自嘲したがやっぱり止めるだなんて気はちっともない。
    「スケベでいいよ。俺だって朝から意識しまくりで、一二三もそう思っててくれて嬉しい。……と言うか、するって決まってて、二人きりだったらこんな気持ちにもなるだろ」
    言いながらだんだんと独歩の顔が下りてきて、独歩は戯れるように一二三の頰やこめかみ、首筋に唇を滑らせた。
    「もうするの?準備っ……」
    一二三が独歩の返事も聞かずに起き上がろうとするので、肩をそっと押して止めた。
    「一二三は今したい?」
    「や……今日は遊んで明日かなって思ってた」
    「うん、俺もそれがいいと思う。今日は夜になったら買いに行かないか。……一緒に買いに行こうと思ってて……まだ買ってないし」
    そう言われれば、コンドームやローションのことだと簡単に想像がついた。
    「行く! 行きたい! そっか、忘れてた……俺っちも買ってなかったな。他の物は持ってきたけど」
    「他の?」
    「あ、いーのいーの、それは明日になってからね」
    あれを見せたらきっと喜んでくれるだろうと気分の良くなった一二三は、自分も独歩に触れたいと彼に手を伸ばし両頬をそっと包むと引き寄せた。さっきしてくれたのと同じように独歩に唇を滑らせる。もらった好意を同じだけ返したい。今はまだそれくらいしかできないけど、もっと大人になったら同じじゃなくてそれ以上の大きな気持ちで独歩を愛せたらいいな、と思った。
    「独歩も……もっと触って」
    一二三にねだられて独歩はごくりと唾を飲み下した。エッチな気持ちもあるけれど、一二三に触れる時は壊れ物に触れるみたいでいつも緊張する。普段は友人としておどけた一二三を嗜めるために肩を叩いたり、あまりないけど頭をはたくこともある。それよりもうんと優しく触れるのに壊れそうだなんて思うのは、今が愛おしい気持ちを交わし合う恋人の時間だからだ。
    独歩は壊さないように指先で一二三の首筋を撫でる。耳をやわやわと揉んだりしていると一二三の肩が揺れた。
    「んふっ、ふふ、ははは、それくすぐってぇ」
    ケラケラと笑う一二三は逃げるように少し身をよじったので、そういえばくすぐったがりだったと思い出した。そういう意味をもってお腹に触った時も、あの時は緊張していたから笑わなかったけど、跳ねるくらい反応していたのはくすぐったかったのだろう。
    くすぐったがりの人は感度がいい証拠、だなんてことをどこかで見た。図書館でだったか一二三の教えてもらったサイトでだったかはこの際どちらでもいい。一二三が気持ち良くなれる下地があるということはたくさん触ってあげればいいのだと、独歩は一二三にのしかかった。
    よじって露わになった背中に向かってTシャツの裾から手を忍ばせていく。
    「独歩、くすぐったいってば」
    手の平から一二三の体温がじんわりと伝わってくる。汗をかいていた肌もすっかり乾いてするすると撫でることができた。
    「一二三、くすぐったいっていうのは感じやすいってことらしい」
    「ひひゃっ、んはは、でも、」
    「……気持ちいいってだけ考えてて」
    撫でていただけなのに、独歩は徐々に息が上がって声が重く湿っていた。それに気付いた一二三はハッとして独歩の言うことを聞いた。
    気持ちいい、気持ちいいと自分に言い聞かせるように頑張ってくすぐったさをすり替えていると急に服をめくりあげられたので独歩に振り返った。
    いつもの独歩じゃない。
    困った顔でも陰った顔でもない。口をきゅっと結んで鋭い視線が真っ直ぐに向かってくる。獲物を狙っている獣の眼、というのはこういうことを言うのだろう。一二三は独歩が自分を欲しているのだと思うと背筋がゾクゾクした。
    独歩、と名前を呼ぼうと口を開いた瞬間だった。独歩の口があっと開いて、一瞬本当に食べられるのかと思ったが、顔が近づいてきてさっきまで手で触っていたところを今度は唇で触れ始めた。吸い上げているのか、撫でられるよりも刺激のある感覚に一二三はいちいちビクビクと反応してしまう。欲しがられていると自覚したからか余計に。
    「う……あ、独歩……」
    「これは? くすぐったいか?」
    一二三はふるふると首を横に振ることしかできなかった。喋った独歩の吐息や鼻息が肌にかかって言葉が詰まってしまう。
    よかった、安心した独歩の声に続いて次に独歩の唇が下りたのは思いがけないところだった。
    「独歩! ……そこはっ」
    「ここも気持ちよくなるって書いてあっただろ」
    それは知っている。独歩と一緒に見たあのサイトには男の乳首も気持ちよくなれる可能性があると書いてあった。だけど、人目に晒されるそこをいじるのはどうにも気が引けて自分でも触れたことがない。恥ずかしいけれど、独歩にされるならきっと大丈夫かもしれないと思って、一二三はいいよという意味を込めて頷いた。
    独歩の舌先が胸の小さな突起をちょんと舌先で二度、三度と触れてきて、それからぺろっと舐め上げられる。
    「一二三、どうだ?」
    「ん、くすぐったいだけだけど……心臓がずっとドキドキしてる。もっと……して、ほしい」
    吸われたりつままれたり、触れられれば触れられるほど心臓がうるさくなっていく。まだ全然気持ち良さなんて分からないはずなのに、独歩がそういう目で見てると思うとなんだか気持ちいい気がした。
    動悸のせいで思考がぐるぐる回って何も考えられなくなってきた一二三は、荒くなった呼吸を整えるように一度息を飲んだ。その瞬間、胸よりももっと上、首筋辺りにチクっとした痛みが走った。
    「いたっ!え、なになに?」
    「キスマーク……ついた」
    独歩がなんだか嬉しそうに微笑んでそこをツンとつついてくる。
    「ごめん、痛かったか、初めてだから加減が分からなくて」
    「ちょっとな、ほんのちょっとだけ。てゆーか、見たいし! 独歩鏡……って、独歩の部屋には無かったよな」
    独歩の部屋を隅から隅まで知っている一二三はそういうや否や独歩が止める暇もなくドタバタと洗面所まで走った。
    一二三の後を追ってきた独歩は、もうちょっといい雰囲気が続くと思っていたのにあっという間にいつもの一二三に戻ってしまって、先に聞いておけばよかったと思った。一二三の興味を刺激するとこうなってしまうのだ。だけどガッカリはしていない。そんなに急がなくたって明後日まではずっと一緒なんだから。
    「わ、わー! ホントだ。ついてる……」
    首だと思っていたが、実際には鎖骨の下でTシャツの襟ぐりに隠れてしまう位置だった。一二三は首元を引っ張って鏡に映し出された小さな鬱血をまじまじと眺める。虫刺されのようだがそれよりも大きくはっきりと主張していた。
    独歩が可愛がってくれた証拠だ。一二三はそう思って目を細めてうっとりと眺める。
    「いいなあ……俺っちもこれやりたい」
    鏡越しに目が合うと一二三はゆっくりと振り向いた。手を伸ばせば届く独歩を引き寄せて首筋に指を這わせる。
    「この辺、おんなじとこがいいかな」
    鎖骨をなぞりその下を示すと、独歩がどうぞと言わんばかりにTシャツを引っ張り場所を開けてくれた。
    一二三は独歩の体がふらつかないように背中に手を回して固定する。すると背中からでも心臓の音が聞こえてよほど高鳴っているらしかった。
    「独歩、落ち着いて。こんなんじゃ心臓弾けて死んじゃうよ……」
    「これくらいじゃ……死なないからっ! 緊張してるんだから早くひと思いにやってくれ!」
    それこそ息の根を止めるセリフだ。だけど独歩のハートを仕留めると思えば全く間違っているとも言えない。
    独歩の肌に唇を乗せるとビクッと体が震えた。そしてちゅうっと吸い上げる。これで付いているはずだと顔を離してそこを見てみると、予想に反してなんの跡も残っていなかった。
    「んえ? 付いてない。おっかしーなー、ちゃんと吸ったんだけどな」
    「……そんなに感じなかった。もうちょっと強くやっていいと思う」
    独歩が上がった息を抑えながら言うので、一二三はもう少し強めにしてみるがなかなか跡がつかない。三回目の正直だと、もう一度やってみようと思っていると痺れを切らしたのか今度は独歩が一二三を抱き寄せた。
    「もっと、これくらい強く」
    そう言って耳の下辺りをきゅうっと吸われて、さっきと同じようにチクっと刺激が走った。どうして自分はできないのかと若干ヤケになった一二三は、思い切ってしっかりと独歩の肌を吸ってみる。
    「痛っ!」
    「どーだ、これで付いたっしょ!」
    そこを見てみると今度こそ赤く鬱血した跡が付いていた。けれど歯の跡も一緒に。
    「ありっ……独歩ちん、めんご。歯型も付いちった」
    「通りで痛いと思った。吸いすぎだ!」
    「だって全然付かないから……てか独歩はなんであんな簡単に付いたんだよ」
    「練習したから」
    「そんな跡どこにもないじゃん」
    ここ、と言って独歩は半袖Tシャツの袖をめくって肩口を見せた。そこにはもう消えかかっている薄っすらとした赤い跡がある。いつの間にこんなことをしていたのかとちょっと感心した。
    「独歩って下準備に抜かりないよな。遠足の時とかも、もしかしたらって晴れてるのにカッパ持ってくるし。しかもシート忘れた奴がいたからそのカッパをシート代わりにって貸してあげれたじゃん?」
    「当然だ。世の中何が起こるか分からないんだぞ」
    「心配しすぎっしょって思うこともあるけど。でもそれで助かる人がいるのも事実なんだもんな〜」

    この時は独歩がどんな準備をしていたのかまだ知らなかった一二三は、明日になって自分も独歩のその用意周到さに助けられる一人となることを知るのだった。
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