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    1006rnsk

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    マルさんの誕生日に合わせて書いたSS。🐉くんの誕生日、というネタです。
    マルさん爆誕おめでとうございます〜!!😘😘😘

    #kbnkb

    「あと、一週間か……」
    エンジンジムの執務室にかけられたカレンダーをにらみつける。
    ○月□△日…今日からちょうど一週間後に、決して忘れてはならい日がやってくる。
    ⸺キバナくんの、誕生日。
    毎年その日ナックルジムは山と積まれたプレゼントで足の踏み場もなく、SNSはお祭り騒ぎでトレンド独占。さすがはトップジムリーダー、ドラゴンストームキバナ様だ。まぁ、プレゼントは”怖い中身”もあったようで数年前からお花しか受け取らなくなったようだけど、エンジンシティまでその美しく馨しい香りが漂ってくる気さえする。
    年々、そのお花も豪華になったり斬新なアレンジを加えられていたり、クオリティが上がってきている…。
    「それに比べ、お前はどうだカブよ…」
    つい声に出していたようで、自分で自分の声に驚き口を塞ぐ。
    彼のファンの心を込めた工夫やプレゼントと比べれば、自分が贈ってきた品々がとても陳腐に感じているから、こういうセリフが出てくるんだろう。
    以前、忙しさとレパートリーの少なさでプレゼントを贈れなかった時があったけど、キバナくんは『二人で過ごすことができればいい、貴方が隣にいて祝ってくれること以上の喜びはない』と…ガラル紳士の鏡のようなセリフを、ぼくの手を握り熱っぽい瞳で言ってくれたことがあった。
    いつだって彼は、いつだってキバナくんは全力でぼくのことを愛してくれて伝えてくれる。
    目の前のカレンダーをもう一度にらみつける。並ぶ数字に反撃され、思い起こす日々⸺彼とお付き合いして一年とちょっと。
    目の前にあるカレンダーの端を摘んでは離し、摘んでは離しを繰り返す。紙の擦れる音が小さく、すぐに元の位置に戻ってしまう……それくらい、もう”今年”が少ない証拠。
    踵を返し、ぼくの粗暴さにも体重にも毎度耐えてくれている椅子に今日もどっかり腰を下ろす。寡黙に受け止めてくれるそれへ背中も預け、デスクの引き出しから手帳を取り出す。
    今は仕事もプライベートもスケジュールをスマホロトムくんに任せているから要らないけど、日記代わりに未だ愛用している。カレンダーの中身だけ取り替え、使い倒し味が出てきた革のカバーを撫でる。
    この手帳の、この厚さでも二年分…手帳用の紙だからか、薄く感じる。
    「こうやって考えている間も、時間は過ぎて、誕生日がやってくる…」
    言いながらも思いついたプレゼントを再考してみる。このプレゼント、若い女性なら…いや、若い人なら喜んでくれるだろうけど、ぼくのようなオジサンでは嬉しいどころか迷惑になるに決まってる、けど⸺。
    唇をグッと噛み締めスマホを掴むと、メロンへ電話をかけた。


    誕生日当日。
    キバナくんもぼくも、明後日までオフ。
    せっかくのオフだからと、昨夜はちょっと…はしゃぎすぎてしまった。太陽がもうてっぺんに差し掛かっている。
    お互いの手持ちたちは、そんなぼくたちにはお構いなしというか気を遣ってくれて、一足先に庭で遊んでいた。
    寝ている彼を横目に先に起き出し、準備を整えてから声をかける。
    「キバナくぅん、そろそろ起きよう? 誕生日当日で悪いけどね、君に代筆をお願いしたいものがあるんだよ」
    「んぇ? …マジですか。それなら、すぐに起こしてくれてよかったのに、すんません」
    いくら寝返りを打っても大丈夫なキングサイズのベッドに、だいもんじしているキバナくんに声をかけつつマットレスへ足をかける。
    寝起きでも、すぐに謝罪の言葉が出てくる彼の、そういうところを見習いたいし好きなところだ。
    「…ふひゃ! なぁに、カブさん何それ〜!」
    「ふふふふ」
    だいもんじしているキバナくんの手足に、自分の手足を重ねて乗っかる。丈は全然足りないけど、うつ伏せに乗っかりマットレスにはどこも触れていない。彼へ全体重を預けた、人間布団状態。
    「だっこしてあげてるんだよ、嬉しいでしょ? 朝はだっこして起こして欲しいって言ってたから」
    「嘘じゃん〜これだっこじゃねぇし〜、重くて起き上がれねぇ〜」
    防音の寝室に響く、二人分の笑い声。
    自分より随分重いぼくに乗っかられて怒るどころか長い腕でしめつける、笑ってくれる君。
    「ね、キバナくん、代筆代筆。大事な書類だから、ぼくじゃ穴を開けてしまうよ」
    「わかる〜筆圧強すぎなんですよカブさん」
    じゃれあいながら寝室を後にし、ダイニングテーブルへ出しておいた書類とペン。
    「どれどれ〜? てか、そんな大事な書類、オレが見てもいいんですか…?」
    椅子に座りながら不安げな視線をこちらへ向けていた彼の目が、書類へと落とされる。
    窓の外から聞こえる、仲の良い手持ちたちの元気な声。柔らかく照らしてくれる日の光を浴び、少し逆光になっている彼が煌めいているように見えた。
    「…カブさん、これ……」
    「誕生日おめでとうキバナくん。これから先の、ぼくの時間全てを、君に捧げます…」
    もらってくれると、嬉しいな。
    「こんな、これ、結婚届…そんな…全てって……っ」
    勢いよく立ち上がったせいで倒れる椅子をそのままに、ぼくを抱き締めあまごいするキバナくん。泣かないで、ぼくの⸺。
    「全部ちょうだい! 返してなんて言われても返さないから! 絶対絶対、返してやんない! 全部ぜんぶオレのだよ!」
    涙とキスの激しい嵐に、思わず笑ってしまった。
    「…よければ、今日、出しに行こうね。保証人欄は、メロンとピオニーくんに書いてもらってあるから、すぐ出せるよ」
    「うん、うん…っ」
    生まれてきてくれて、ありがとう。
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