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    shiki_poi

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    shiki_poi

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    ルーク様お誕生日おめでとうございます!ということで初ファイブレであります。突貫工事でしたが!間に合った!お祝いの仕方は、前に友達に皆でやったものです。全然全くそうは見えないけどビショルクかすってるので、ビショップさんは多分内心しめしめと思っているに違いない…。

    #ファイ・ブレイン
    phiBrain
    #ルーク・盤城・クロスフィールド
    lukeBanjoCrossfield
    #ビショップ
    bishop

    mailto いかにもヨーロッパという古く堅牢な街並みがすっかり夜に沈む頃、POG関連企業での仕事を終え、ようやく宿泊先のホテルで一息つくことができた。
     POGジャパンの責任者とはいえ、普段ならそこまで詰め込まれたスケジュールになることはないが、今回の出張はそれこそ分刻みといった過密さで、供についてきたビショップはしきりに申し訳ありませんと繰り返した。気にしないでくれというセリフも同じだけ返したが。
     出張の間、寝に帰ってくるだけだったホテルの部屋はよそよそしく、しかし疲れきった体は休息を求めていた。
     まだ食事を取っていなかったが、階下へ降りていくのも億劫で、上着を脱いだだけで着替えもせずにベッドへ倒れこむ。
    「何か軽食でもお持ちしましょうか?」
    「……うん」
     ビショップが静かに部屋を出て行く気配を感じながら眉間を揉みながら目を閉じるが、視界が暗闇になると本当に眠ってしまいそうだった。いや眠っても構わないのだけれど……。
     意識が落ちかけたとき、微かな震動で引き戻された。
     脱いでそのままベッドに放り出した上着――のポケットの中の携帯電話だ。数度震えて止まったのでメールだろうが、眠気を覚ましがてらベッドの上を這って取りにいく。
     この端末は仕事用としては使っていないけれど、親しい人や主だった部下はこちらへ連絡してくるのだ。何かあったのかもしれない。
     見ると、メールの差出人は案の定留守中のPOGジャパンを任せてきた部下だった――のだが。
    「何で三人ともから?」
     メール一覧にはフンガ、ダイスマン、メイズからのメールが表示されている。しかもほぼ同時に送られてきたようだ。
     首を傾げつつ開封すると、それぞれ『う』『め』『た』とひらがなで一文字記されただけのメールだった。
    「……?」
     ますますわからない。ミスをして途中で送信してしまったのだろうか?
     ベッドに腰掛けて携帯電話の画面をじっと見つめるが、本文の内容以外には特におかしなところは見当たらなかった。
    「POGジャパンのPCがウィルスに感染した……ってこともないよね」
     そう呟いた瞬間、手の中の携帯電話が震動し、驚いて小さな声とともに取り落としそうになってしまった。
    「やっぱりミスで送りなおしてきたのかな?」
     しかし、一覧に表示されたのは三人の部下の名ではなく、さらに増えて逆之上ギャモン、アナ・グラム、キュービック・ガロア、軸川ソウジ、そしてまさかの解道バロンだった。これまでメールなど送ってきたことのないような人物ばかりだ。
    「っていうか、いつの間にここまで僕のアドレス広まってるんだろう」
     一通ずつ開いていくと、やはり中身はひらがな一文字ずつ――『お』『と』『で』『よ』『ん』。
    「……」
     ここまで来ると疲れきったルークの脳にも、これがある種のパズルだということが理解できた。だが、ギヴァーは一体誰なのだろうか? POGジャパンの面々ならともかく、学園の一同まで……。
    「もしかしてカイト?」
     そうして考え込んでいると、先ほどと同じように着信の震えを感じ、先ほどと同じようにメールを確認する。
     今度のメールはやっぱりカイト……そして井藤ノノハからのもので、中身は『じ』『び』。先ほどまでと同じく、ひらがな一文字だけだった。
     ――顔ぶれを思えば、これで全てだろうか?
     一体何の真似なのか非常に気になるが、眠気で頭が働かない。自分の上体がゆらゆら揺れているのがわかる。
     そうしてうとうとしていると、またまた手の中の物体に起こされて、今度こそ携帯電話を放り投げてしまった。
    「だっ、誰!」
     照れ隠しに声をあげつつ、ベッドを降りて携帯電話を拾ってみるとまたしてもメール……そして、それは先ほど部屋を出てルークの夕食を探しに行ったビショップからのものだった。
     何かあったのかと慌ててメールを開くと……『う』。
    「お前もか!」
     思わず突っ込むと同時に、部屋のドアが小さくノックされて、だが返答を待たずに開けられた。
    「ルーク様、お待たせしました」
     そういいながら入ってきたビショップは、ホテルのルームサービスに使われるような銀のワゴンを押していて、その上には小さなホールケーキがひとつ、ティーセットが一揃い載せられていた。
    「ビショップ、それ……」
    「本当は皆さん直接お祝いしたかったとのことなのですが、残念ながら今日ご一緒できたのは私だけでしたので、代表してケーキをご用意させていただきました」
     にっこりと、少し得意げに笑ったビショップは、白いクリームと様々な色のベリーで飾られたケーキをルークのほうへずいっと押し出した。
     ケーキにはルークの昨日までの年齢に1つ足した数字のロウソクが立てられていて、ゆらゆらと炎が揺らめいている。
    「お誕生日おめでとうございます、ルーク様」

     続々と届いたメールは、親しい人たちが皆で送ってくれたメッセージだったのだ。
    『たんじょうびおめでとう』
     ――生まれてきてくれてありがとう、と。

    「僕、今日が誕生日だなんて忘れてた」
    「お誕生日のスケジュールをうまく調整し切れなくて、皆さんからだいぶ非難を浴びました――私自身忸怩たる思いでいっぱいです」
     手際よく紅茶を入れながら、ビショップが苦笑いする。優しい紅茶の香りは、いつも淹れてくれていて飲みなれた、ルークの気に入りの茶葉だ。もしかして、このために日本から持ってきていたのだろうか。
    「ううん。忙しかったけど、こんな素敵なプレゼントをもらえる誕生日が待ってたのなら、頑張った甲斐があった」
     ビショップに促され、ケーキとティーセットが綺麗に並べられたテーブルにつく。
     異国の夜更けに、ささやかな二人だけのバースデーパーティー。けれど、遠く離れても大切な人たちが誕生日を祝ってくれていると思うと、ちっとも寂しくない。さっきまでの眠気も吹き飛んでしまった。
    「あ、このケーキの写真と一緒に、ありがとうってメールしようかな」
     携帯電話のカメラを構えてボタンを押すと、小さなシャッター音とともにルークの嬉しい気持ちまで保存されるような気がした。
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