はちみつぷれい その夜、ピーター2と僕はしたたかに酔っていた。
久々に二人きりでゆっくり過ごせるのが嬉しすぎたから、適当に買ったワインが思いがけず美味しく飲みやすかったから、超人的パワーを持っていても僕らが別に酒に強いわけではないことを忘れていたから……原因はどれでもいい。問題は、僕にソファに押し倒されたピーター2が、手前のテーブルに立っている蜂蜜ボトルを指さして、こう宣ったことだ。
「あれ、とってくれない?」
僕を映す瞳はじれったそうに熱を孕み、すでに僕のキスを何度も受けた唇はてらつき、息も乱れている。そんな状態の彼の言葉に、僕は意味がわからず困惑した。
「はちみつ……? なんで?」
なぜ蜂蜜があるかというと、カマンベールチーズやブルーチーズにかけると最高のワインのつまみになるからだ。しかし酒宴が終われば、この甘味料に出番はないはず。……まさか飲むのだろうか?
僕の求める答えの代わりに、ヒュッと聞きなれた鋭い音がすぐ下で聞こえた。
ピーターは僕の包囲からさっと腕を突き出して、放ったウェブで蜂蜜のボトルを引き寄せた。
「これをね……」
ピーターは笑いまじりにTシャツを自らめくりあげ、ボトルの先で、陰った腹筋の凹凸をつついた。
「ここに……垂らしたら、楽しいかなって……」
そう、ふくふくと笑う彼。
思考より先に、特大の甘いうずきが僕を襲った。
「はちみつを、きみに……?」
「そう」
「た、垂らして、どうするの……?」生唾を飲み込んで聞いた。半ば馬鹿な質問だとはわかりつつも。
「きみが舐めるんだよ」
さも当然のようにピーターが言った。
仮に、仮にだ。
僕が「蜂蜜をきみの体にたっぷりかけて、そのまま食べちゃいたいんだ、二重の意味でね!」なんて提案したら、普段のピーターはきっと困惑しながらこう言うだろう――ベタベタになっちゃうよ。後片付けが大変だよ。食べ物で遊ぶのは抵抗があるよ。そもそも何でそんなことしたいの、等々。その彼が酩酊しているとはいえ、自ら申し出てくるなんて。なんだ、これは夢? 不幸の前兆? 明日のニューヨークは大荒れ?
ともかく、このチャンスを逃してはいけないと思った。僕はピーターが乗り気なうちにと、蜂蜜のボトルをしっかりと受け取った。
「わかった。きっとそれは楽しいに違いないよ」
僕が真剣に言うと、ピーターは赤い頬をゆるませて、「だよね」と悪戯っぽく言った。
かわいかった。
みたいなイチャイチャ続きを書けたらいいな~~~