あなただけのヒロイン「きゃあ!ステキぃ〜!」
「いいなぁ、マナもしてほしい!!」
決して広くはないリビング、というか居間に響くのは愛らしい声ふたつ。お揃いのツインテールが揺れている。
覗き込めば、ふたりは仲良く一冊の本に向き合っていて。
あれ?あんなんうちにあったか?漫画はなかなか買えない我が家計、かろうじてあるのはわたしが密かに古本屋で購入した特攻の拓だけだ。まあ、妹たちは1ミリも興味がないからあってないようなもんだけど。
「どしたの」
「おねーちゃん、見て見て!」
「ハルカちゃんが貸してくれたんだよ。超面白いの」
表紙を見れば、顔の半分目、って感じの女の子と、イケメン男子。あー、残念ながら通らなかったなりぼんは。前にアニメやってたからタイトルは知ってるけど、中身は全然知らない。だって一番忙しい時間帯だったし。ちょうどルナマナにご飯食べさせなきゃだったし。
3541