何があるでもなく「未来とはなんなのだろうな」
ふと疑問に思ったことを口にした
目の前のタヌキ顔をした猫、徳川家康は唖然としながらワシを見る
彼とはよい同盟関係だろう、遊びに来ないかと今日も安土城に呼んでやった
「…はあ、それまたなぜ」
「いや、ふとな」
「信長殿らしくないですね」
「そうかニャ?」
ときは1580年
未だ周りは敵ばかりであるが、天下までの道のりは着実と進んでいる
長篠で武田を追い詰め、越後の龍といわれた可愛いけど厄介な上杉謙信もすでにいない
問題は毛利であったが、あのサル…秀吉が担当している中国方面も、滅多な事がない限りは危機に瀕しはしないだろう
もはや敵なし、自身が頂点に立つのも時間の問題だった
「信長殿は、"視えて"いないのですかニャ」
1446