温泉宿の夜は更けて ザバッと湯船から立ち上がると、なめらかなお湯が身体を流れ落ちていく。露天風呂の縁に腰かけて星のちらつく空を見上げれば、火照った身体に夜風がひんやりと触れる。無意識に、深い溜め息を吐いていた。
「これが温泉か」
……悪くない、と思う。以前『辻斬りナギリを探すであります!!』と息巻いたカンタロウに引っ張り込まれた時はその場を切り抜けるのに必死で、気づいたときには湯中りで倒れていた。あれはもう思い出したくないので温泉に入ったカウントには含めていない。
『我こそは吸血鬼温泉猿無限増殖!! 今こそシンヨコの温泉を全て猿で埋め尽くしてyブエエェェェェ!!』
『さすが辻田さん! 本官のコレは出番がなかったであります』
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