ダイ君とポップの七色のキャンディー「わぁ、綺麗だなぁ……!」
すぐ隣の頭ひとつ分低い位置から上がった歓声を耳にして、おれはぶらぶらと街の通りを往く足を止めた。それから目を輝かせる相棒の視線の先を追う。
小さな勇者さまの関心を射止めたのは、焼けた黒ずみや剣戟の跡が刻まれて傷んだ箇所を出来合いの木片で貼り付けて直した手押し屋台に並べられた、幾つものガラスの小瓶だった。所々細い蔓草模様で装飾された何の変哲もないただの小瓶だが、中には色とりどりの飴玉が詰め込まれている。
赤、青、緑、黄、桃、紫、そして白。七色の飴玉だ。おれには色からだいたいの味を想像することができる。小瓶同様に飴玉も巷にありふれたフルーツ系のものだろう。
もっとも、姫さんが見れば安堵に胸を撫で下ろすだろうなと、おれは美しくも勝ち気な、けれども己に課された王女としての役目を誠心誠意務める少女の姿を思い浮かべた。復興途中のパプニカの市に、ついに嗜好品の飴玉が美しいガラスの小瓶に詰められて並びだした。その報はどれほど彼女の疲れた身体を労ってくれるだろうか。
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