全年齢のお話の進捗。「せっかく海に来たってのに……なんで、なんで! アオちゃんがいないんだよー!」
日光がさんさんと降り注ぐ海辺で、蒼井茜は絶叫した。その様に他の海水浴客は思わず振り向く。
「ヤシロさん達の電車遅延してるんだから、仕方ないじゃん……」
あまねはスマホをスワイプしながら答える。メッセージアプリの画面には寧々の焦った様子が伝わるメッセージやスタンプが並んでいた。
「うっわ蒼井先輩、何も泣かなくても」
三葉は茜に若干引きつつもなんとかなだめようとする。
「てか柚木先輩、弟さんはどうしたんスか?」
「や、何か海の家で買ってくるって言ったっきり戻ってこなくて……」
まあ毎回の様にどっか行っちゃうから、とあまねは光に答えた。
「みんなー! お待たせ-!」
「あまねー!」
1時間ほどたった頃だろうか。寧々と葵が到着した。2人とも可愛い水着に身を包んでおり、その側には
「あ、来た! あれ、つかさも?」
「あまねくん! つかさくんが皆の分のかき氷買ってくれたの、はい、あまねくんはいちご味ね」
「あ、うん」
寧々から赤いシロップのかかったかき氷を受け取る様子をじっと見て、つかさは
「あまね! これ美味しいよ、食べて!」
と食べかけの焼きそばをその口に突っ込んだ。
「いや今かき氷を食べ……むぐっ!?」
「ど? おいし?」
あまねは眉間にしわを寄せて
「……いちごかき氷風味の焼きそば味だよ、まっず」
と呟きながら一応そしゃくする。
「俺の焼きそば食べられないの?」
「……」
つかさの表情がすんっとなったので、あまねは何も言わない方が得策だ、と黙り込む。
「アオちゃんの水着姿……女神だ。結婚しよう!」
「だめ♡」
「そういえばつかさ、全員の分のかき氷買ってたけど、お小遣い足りたの?」
「ん? あーあれはね……内緒」