指輪 五条先生の左手の薬指には指輪がある。
ファッションとかそんなものじゃない。
華奢なシルバーの指輪。
それはきっと、結婚指輪だ。
・・・・・・
虎杖は五条に「今度の休日、映画見に行こう」と誘われ、二つ返事をした。
その待ち合わせの日に、見てしまった。
スマホを操作する五条の左手薬指に指輪が輝いているのを。
楽しみにしていた好きな人との休日。初っ端で出鼻を挫かれた。
先程まで、浮き足立っていたたが、しっかり地面を踏みしめて五条の元へいく。
「おはよう!先生、待った?」
「おはよう、悠仁。今きたとこ」
虎杖に声をかけられて、すぐに反応した五条はスマホごと左手ををポケットにしまった。
「映画の時間まで少しあるし、コーヒーでも飲もうか」
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