【⚠ネタバレ】映画「沈黙のパレード」は好きな顔がいっぱい並んでて最高だったよという話【⚠ネタバレ】映画「沈黙のパレード」は好きな顔がいっぱい並んでて最高だったよという話
ガリレオシリーズ第三作目、映画「沈黙のパレード
」。
物語のあらすじは、東京都菊野市の食堂「なみきや」の長女(19歳)が姿を消したことから始まる。その類稀なる歌の才能から、将来有望とされていた彼女が、突如として姿を消した三年後、静岡県の何の関係もない民家で老婆の死体とともに焼死体で見つかるのだ。
そして、そのことにより容疑者として浮上した、蓮沼寛一という男。
実は、天才物理学者・湯川の友人であり警察官である草薙が過去に『容疑者の黙秘により罪に問うことができなかった』因縁の相手だったのであるーーーーー
いや、まあ、そんなことはどうでもいい。
ほんと、ぶっちゃけホラー&サスペンス好きの人間が言うことではないが、そんなことはまあどうでもいい。
「沈黙」がキーワードとなる今作の映画では、やたらと黙秘したり煽ったりと一筋縄ではいかない容疑者やら癖強住民がでてきて、なかなかに面白い展開だった訳だが、それ以上に着目すべき点が多くあった。
東野圭吾原作の時点で間違いないガリレオシリーズ。更に優勝したポイントが5つある。
①福山雅治の顔がいい
この男、齢53である。
それなのにこんなに顔がいい。
儚げなリムレス眼鏡に、やや額にかかる黒髪。時折清潔そうな襟元から見える項と、柔らかな襟足のコントラストはどこか艶めしい。
何よりも、もみあげである。
作中、被害者の家族が経営する食堂「なみきや」の次女と地元の祭りのメインイベントであるパレードを観覧に行くシーンがある。
そこでは、研究室を離れて黒い半袖シャツでラフに秋のパレードを楽しむ湯川先生を見ることができる。
そう、季節は秋。
その中でも未だ残暑厳しい時期である。
沿道で華やかな仮装集団が道行く姿を眺めながら、暑そうに手で顔に風を送る。
すると、次女は祭り会場で無料配布している簡易な団扇を手渡すのだ。
受け取りにこやかに礼を言うと、台座に乗り上げて人並みより一つ頭を出したことでよろけた彼女を自然に支える。
そして、嬉しそうに目の前を行く個性豊かなパレードの参加者を私用携帯で撮影している。
いや、もうこの笑顔で既にプライスレスである。 何故、その、会って幾日ばかりの少女に穏やかな笑みを向けるのか。お前は子供が嫌いだったんじゃないか。やめろ、勘違いしたらどうする。それともなんだ、ちょっと強引な方がタイプなのか???アッ、スミマセン、苦手なだけでしたよね!!!!
どうもこの男、かなり無防備なのである。
無邪気に祭りを楽しむ少女に気遣いを見せつつも、明らかにローカルピーポーばかりの状況下で、謎の順応性で町に溶け込み、暑そうにあおいでは、その清潔そうな襟元と項、そして黒髪のコントラストで私達を惑わせるのだ。
何回でも言う、清潔さの権化だ。
あの、潔癖そうに整えられた身なりの上に柔らかな黒髪である。
眼鏡のつるの先を覆う、長めのもみあげ部分。
流された前髪からそのままの流れで耳元にたどり着く。しかし、野暮ったく見えないのは耳にかけられた後ろ部分のお陰か。
耳が見えることですっきりと綺麗にまとまっており、爽やかな中にもどちらかといえば優雅さすら感じる。
誰だあの髪型考えた人。
百万払わせてくれ。
そして、衣装を選んでくれた方。
天才です。黒シャツもベストもありがとう。
グレーのベストと合わせられたジャケットは、作中でほぼ羽織られることはなかったが、殺害現場での実証実験の際、さりげなく椅子の背にかけられているのである。
そもそも、何故そんな当然のような顔で警察の実証実験に参加している。
ここは研究室じゃないんだぞ。
そんな疑問も細やかなものに思えるくらいにベストが素晴らしい。
一作目の映画「容疑者Xの献身」をご覧になった方は思っただろう。
確実に彼は年をとっている。
14年だ。14年の年月が彼の顔に刻まれているのだ。
それにも関わらずこの完成度。
決して若づくりではない、「良い歳の取り方をした人間」特有の色香と、端正な面立ちが際立つ皺のつきかただ。
私は幼い頃不思議に思っていたことがある。
というのも、当時祖母がテレビに出ていた壮年の俳優を見て「やっぱり、男前やなあ」とこう呟くのである。孫の代である私からすれば、既にそれなりの歳を重ねた大人、おじいさんと呼んでも差し支えない歳であった。そんな俳優に、祖母はしみじみと呟いた。
アイドルファンだった私は若いアイドルばかりに目がいき、年増の俳優に興味も湧かなかったのもあるが、(生来のおじさん趣味はここでは伏せる)どうも若い頃の功績と並べられた、「長い人生の足跡」は魅力的に感じなかったのである。
今ならわかる、あのときの祖母の気持ちは。
若いうちに好きだった相手は、歳をとってもその歴史もひっくるめて好きであることに変わりはないのだ。
いや、やっぱ嘘。
普通に福山雅治顔がいい。
若かりし頃が「青く瑞々しい燕」なら、今は「美しく鞣されたレザー」の如く生々しい色香とよく馴染んだ優しげな眼差しは、はっと息を飲むたびに美しい。
本当になんで顔がいいのか。
歳をとった背中は、「容疑者Xの献身」の頃と比べればもったりとした印象を与えがちだが、それ以上に視界に入るたびに安心感があるこの貫禄に勝るものはない。
鑑賞中も2時間もの間ずっと見ていたにも関わらず、ふと画面が変わるたびに彼の造形の素晴らしさに恍惚の溜息が出た。
髪型・顔・服装・声、全てが絶妙なバランスだった。
まあ、普通に知ってたし、別に本当に前作の映画以来初めて見るわけではない。
只の限界オタクの感傷である。
彼の素晴らしさを語るには、もう一つ触れておきたいシーンがある。やっぱり二つある。
一つ目は彼が休業中の「なみきや」に、真実を知るためだけに足を踏み入れるシーン。
やや薄暗い店の中、荒んだ様子の店主と奥でこちらを伺う妻。彼らは、湯川先生が警察の調査に協力していたことを知っていたのかもしれない。
明らかに動揺した様子で、彼らの目に映った先生は、さぞ恐ろしい得体のしれない存在に思えていたのだろう。
そんな彼らに、表向きは好意的に迎えられた先生は、あの落ち着いたペースを崩さずに彼らを少しずつ追い詰めていく。
このとき、全てを見終わった今思えば彼も、落ち着いてはいられない心情であったに違いない。
段々と動揺を深めていく夫婦と、真実を追求するために、その手は緩めない湯川先生。
そう、このシーン。
めちゃめちゃに圧が強くてかっこいいのである‥
本当に圧力をかけているわけでも、声を荒げるわけでもない。
ただ、淡々と、しかし彼の無言には見透かされるような恐ろしさがあった。
というか、顔がいい男が淡々と話している姿は美しい。
あと、年季の入った内装とかっちりとした格好のギャップが素晴らしく良い。
本当に、これでよくこのローカル感あふれる町の民に馴染もうと思ったな。
お前がいるだけでうら若き乙女達が振り返るんだよ。美しさの罪、この顔だけで自白する。
二つ目に素晴らしいシーンは、椎名桔平(仮)の自宅を訪ねたときだった。
本編の進行に従い、椎名桔平(仮)が自宅を不在にしてるタイミング(オブラート表現)で湯川先生は彼の家を訪れる。
そこには椎名桔平(仮)の妻がいるのだ。
湯川先生は椎名桔平(仮)の妻に会って、真実を告げるべく彼らの家の門をくぐった。
いや、なんで家に上げてんだよ。
人妻が一人、二人きりの空間。
何もないなんてことは……まあ、あったんだが。
そんな気安くよくわからん男を部屋に入れるんじゃない。防犯意識が低いんじゃないのか(?)
と、何も知らなければ思うわけだが、実際映画を鑑賞済みの皆さまであれば分かるだろう。
二人暮らしの豪著な一軒家。
そこの細い柱で作られた門の隙間から、ちらりと品のいい頭がのぞいてにこりと愛想の良い笑みを浮かべる。
いや、顔がいい。
信じられんくらい全てが様になってる。
警戒されることを見越して、控えめに作られた微笑みは奥ゆかしさすら感じる。
多分悪魔がこの世にいるのならば、きっとこんな姿をしているのだろう。こんな姿だからコロリと騙される輩がいるのだ。
絵になるのはここだけでは終わらない。
このあと、質の良さそうな部屋に通されて心ばかりのもてなしで紅茶が出される。
そう、ティーカップだ。
持ち手の細い磁気のティーカップを会話の合間に口元に引き寄せる、その所作の一つ一つが、洋館といった風情の背景とあいまって、酷く映えて見えた。
美しい、まさに美しいのだ。
彼の話に耳を傾ける人妻の、不安げな表情と白い肌から醸し出される頼りない雰囲気は美しい。
しかし、彼にはそれとは違う、何か高尚な偶像に対して持つような美しさがあるのだ。
本当に私は何を言ってるんだ。
②愛情深い夫・椎名桔平(仮)を観測できる
ここで私事になるが、私は12の頃から椎名桔平が好きだ。
何が好きかと問われれば、とにかく好みとしか言いようがない。
「SPEC」「謎解きはディナーのあとで」「ワイルド7」エトセトラエトセトラ……チャラい刑事から娘想いの犯罪者まで、様々な役で私の心を掴んできた椎名桔平。
安心してください、今回は愛情深い夫役です。
音楽プロデューサーである椎名桔平(仮)とその妻、留美。
二人は夫婦でありながら、音楽プロデューサーとしての夫と彼を支える妻のビジネスパートナーでもあった。
冒頭での彼らは、殺害された「なみきや」の少女に才能を見出す音楽プロデューサーの立場だった。
控えめに椎名桔平(仮)の傍らに佇む妻。
開始5分時点の私は、只の音楽プロデューサーと秘書だと思っていた。
やたら距離が近いとは思っていた。
まさか、まさか夫婦とは思わなかった。
あえて情報量を最低限にして挑んだ本作の鑑賞。
いや、既婚者かい。
お前が人妻だったのか。
ちょっと待て、私はどういう気持ちで残り二時間弱見ればいいんだ。
まあ、ドラマ「コードブルー」では夫婦どころか息子がいたし、思わぬ不器用な父親ムーブにときめいた自分もいたわけだが。
それにしたって、その妻はずるいだろう。
檀れいはずるいぞ。
そんな美人な奥さん出されたらぐうの音も出ない。
もしかしたら、唸ってたかもしれないが。
しかし、私のこの思いはじきに変わることになる。
あまりに素晴らしい夫振りだったのだ。
俗に言う「スパダリ」というわけではない。
飽くまで、妻へ抱く愛情が表情や仕草から滲み出る、「夫」だったのだ。
妻の手に触れる瞬間、震える肩を抱く腕……あらゆる解像度が椎名桔平(仮)のキャラクター像を鮮明にしていった。
ぶっちゃけ、こんな言い方はどうかと思うが「椎名桔平夢小説」的な感じだった。
もしかしたら私の幻想かもしれない。
でも眼鏡かっこよかった。
何故いい男にばかり眼鏡をつけさせるのか。
天才なのか。
それとも眼鏡をつけた男がいい男なのか。
今の私には分からない。
ただ、この好みの顔がチョイ役かと思いきや結構しっかり眺められたことに感謝したい。
監督さんありがとう。
これから好みの顔の夫が見たくなったらこの映画を見ることにします。
湯川先生の顔も眺められるので一石二鳥です。
私の青春、椎名桔平を起用してくれてありがとう。
夫婦役に平伏すしかないレベルの美人を持ってきてくれてありがとう。
まだ私は人間でいられました。
兎にも角にも、妻に向けられた仕草の一つ一つから椎名桔平(仮)の愛情深さをひしひしと感じられた。
その結果、エンドロールを眺める私は彼を愛さずにはいられなかったのだった。
最初から顔は好きでした。
③情緒不安定な草薙(北村一輝)
本当に情緒不安定。
顔はとてもよい。
トラウマを抉られるだけのポジション。
半端ない演技力でとんでもない濃さだった。
最初の登場シーンからエンドロールに至るまで、最後までチョコたっぷりだった。
湯川先生と草薙さんは親友という間柄上、草薙さんからすれば作中唯一、素直な感情が許される相手でもあった。
それ故に、いつものペースを崩さない湯川先生に絶賛トラウマ抉られ中の草薙は、時に声を荒げることもある。
それでも、二人は親友だった。
まあ、正直に言うと湯川先生の胸倉を掴むシーンは興奮した。
清潔そうな襟元(n回目)が強い力で掴まれ、皺が入ったのを視線すら向けずにおざなりに直す湯川先生。
演技力高すぎて見ているこっちの息が詰まるシーンも多々あったが、その分の没入感は凄い。
あと机叩かないで…びっくりするから。
映画館の全てのスピーカーは中心に向けて鳴らされる。つまり、一番臨場感が演出されるのはスクリーンと座席の最後部を直線で繋いで四角を描き、その対角線の交点にあたる席ーーーーーようは真ん中である。
真ん中で見ると、あの台パンがとんでもない音圧で私達の耳を襲った。
2回目に行こう、或いはこれから行こうと思う方は注意していただきたい。
④内海(柴咲コウ)の復活
これは言うまでもないと思うが、とにかく内海が可愛い。
今回は信頼する先輩の窮地と湯川先生のソロプレーが大半を占め、困り顔が多かったが、やはり可愛い。
美人は困り顔も可愛いし、なによりツボにはまったのは、実証実験の内容を遅れて到着した草薙に問われた時の返答である。
「私には説明できません」である。
「私には説明できません🥺」だった。
多分そう、おそらく、確実に私の目にはそう見えた。
内容の難しさ故に説明を諦めた内海。
それを受けて一瞬だけ顔をあげる湯川先生。
あの表情をみるために、私は映画館に足を運んだのかもしれない。
それくらいに、台詞の量に対してあまりに雄弁な瞳で語る内海&湯川先生だった。
理解せずに実験に加わっているのか、未だ分からないのかと言わんばかりのあの表情。
内海は完全に拗ねていた。
だって難しいんだもん。
「容疑者Xの献身」では、湯川先生にからかわれまいと強気に振る舞っていた印象の内海だったが、今回はどこか控えめな印象を持った。
というか、「容疑者Xの献身」で思い出したけど、物語終盤、友人の罪を暴くことになり、自らが称えた友人の知性が殺人に使われたことに、酷く心揺らぐ湯川先生。そこに分かち合えないなりに、真摯に言葉を紡ぐ内海。
お互いの立場と関係性を脱ぎ捨てて、まるで友人のようにそれぞれの言葉に耳を傾ける両者は、間違いなく必要としあっていた。
研究室で一人、どうしようもない心を抱えて宙を仰ぐ湯川先生。
弱ってる湯川先生あまりに良すぎて「内海さんじゃなきゃ勘違いしてますからね???!!!」という気持ちになりました。
あと、自身の想定を超える内海の発言に思わず言葉を失う湯川先生。
黙って彼女と目を合わせる、瞬間。
いや、よくあれで好きにならなかったな????
いくら演技でもあの顔の良さで見つめられたら私なら「ウッキャフヘヘヘヘヘヘアッバ、オホッフホホホホホホホオエッ」みたいな奇声上げて転がりながら距離を取るところだった。
それくらい顔が良い。
好きになったら責任取ってくれるんか。
無理か。
それでも好きです。
「容疑者Xの献身」は若くハリがあってとにかくイケメン顔がいいシュッとしてる山雅治だったが、「真夏の方程式」はハマってはいけないタイプのちょっと危ない男前山雅治だし、「沈黙のパレード」に関しては色気で殴ってくるタイプの上質な大人の男性山雅治でした。
私は全部好きです。
内海ちゃん可愛い。
エンドロールで過去作がダイジェストで流れたとき、全ての福山雅治もとい湯川先生を楽しめる贅沢さに涙しました。
嘘です。
なんでまた福山雅治の顔の話してるんだ。
⑤お前がおれの「ヒトツボシ」なんだよ
「容疑者Xの献身」以来久々の柴咲コウ✕福山雅治(カップリングの話はしてない)の二人で作成となった主題歌でしたね。
薄々と察している方もいるかもしれないが、これだけ福山雅治の顔の話をしていた女が彼の歌を聞いていないだろうか。いいや、聞いている。
ここで、私の一押しフレーズを聞いてほしい。
「いつか いつの日にか
わたしが君のこと
泣かずに思い出せるように
君の旅が幸せであるように」
ここのギャン泣きポイントは「わたしが君のこと泣かずに思い出せるように」についてだが、なんと似た歌詞が別の部分にも出てきている。
それが一番の「君がわたしのこと泣かずに思い出せるように」。
そう、入れ替わっているのである。
最初は「君」が「わたし」のことを思い出すときに泣かずにいられるようにとの願いだったのが、最後は「わたし」が「君」を思うときの決意になっている。
相手を気遣う歌詞が最後には、ほんの少しの寂しさを滲ませながらも君の幸福を願ってるのだった。
どだブダー゛じが(鼻声)
映画「容疑者Xの献身」の主題歌「最愛」で「あなたがまだ好きだから」と、シンプルかつど直球のラブソングを聞いた上でこれである。
「君の旅が幸せであるように」とか、なんで、これじゃお別れみたいじゃないか……お別れなんですけど。
あまりに無理だった。
映画の最後に流さないでほしい。
普通に聞いてるときは「へえ〜今回の曲も作ってくれたんだ〜」程度だったのが、既に瀕死のエンドロールで流れると最早鼻水の確定演出だ。
「フクマサ素敵なお歌つくってくれるから楽しみだなあ〜」と脳天気な自分は未だことの重大さに気付いていない。
あの福山雅治が歌詞を書いている。
主演を務めた上で、真実を知ってこの言葉を贈ったのだ。
みなまで言うことじゃない。
とりあえず、映画を見てその夜イヤホンで眠る前に聞いてほしい。
「泣かずに思い出せる」ことは無いし、「本当は少し寂しい」どころか大の大人が寂しくてしょうがない。
もうここまでくると「君」が誰とかそういう話じゃなくなってくる。
まって、わたし誰の話してんの。
また福山雅治の話してるのか。
いや、「なみきや」の長女とその彼氏の話をしている。
閑話休題
柴咲コウさんの切ない声がたまらなく曲にあっていて、内海が程よく被害者達と一線引いた立場にいることが逆にその演者さんが被害者達に寄り添った歌を歌っているという事実を際立たせている。
本編でしっかり好きになった状態で主題歌まで歌われると完敗だ。
顔も声も歌もいいとは何事か。
柴咲コウという存在に感謝を捧げたい。
もし私がサスペンス作家になったなら、ドラマ化の際は彼女を起用すると誓おう。
あざとすぎない、ほどよい甘さと辛さのバランスが、物語の本質から離れない最高の距離感で私を狂わせる。
曲と合い過ぎる。
なんなの、彼女のためだけに誂えられた歌なの。
そうです。
相手の素晴らしさを熟知した間柄ならではの完成度に、脱帽せざるをえない。
というか福山雅治の顔・声・歌詞・メロディ全てが最高とか世界のバグだろ。
天は二物どころか四物も与えるなよ。
福山雅治プロデュース柴咲コウ歌唱とか、ガリレオシリーズ知らない人からしたら「なんの幻想のハッピーセット?」って聞かれるレベル。
贅沢いい過ぎて他のドラマシリーズのファンに殴られそう。
もしかしたらガリレオシリーズのファンが何処かで徳を積んでいたのかもしれない。
ありがとう、まだ見ぬファン。
ありがとう、KOH+。
以上の5点が「沈黙のパレード」絶対見るべき激ヤバポイントである。
正直、この作品を勧めるべきかと言うと難しいところがある。
というのも、やはりサスペンスの性質上、少なからず暴力を思わせる表現があり、誰かが傷つき、恐れ、悲しみに包まれる。
その要素がこの作品は断トツだった。
ここまでのガリレオシリーズの中で、今まで後味の悪さを覚えることはあれど、ここまで本気で恐れたことはない。
からり、と戸が開き賑やかな店内に外気が入り込む。
音に気が付いた少女は、手慣れた様子で笑みを形作り、客人に声をかける。
「いらっしゃい……」
刹那、凍りつく表情。
殺気立つ大人達。
男の言葉が、靴を脱ぐ動作が、全てが悪意に満ちていた。
放り投げられた煙草の先が、姉の体を焼いた炎と重なって。
憎しみが、彼らの総意となって吹き出した。
死んでも当然の男だった。
飛びかかろうとする父親を止める仲間たちの苦しみは、彼女への愛情の裏返しだった。
あの場にいた全員が彼女を愛し、男を呪った。
その中で、唯一「彼女」を知らない他人が、ゆっくりと席から立ち上がる。
場の喧騒に不釣り合いなくらい落ち着いた所作だった。
視線が集まり、涼やかな横顔が、男の前に立ち塞がる。
ことり、なぎ倒された椅子を丁寧に起こす。
その静謐な表情だけで、男は、敗北を知ったのかもしれない。
罵りもしない曖昧な態度につまらないと思ったのかもしれない。
ただ、これだけは間違いないと思えたことがある。
突然揺らがされてしまった日常に、目を背けたかった現実を前に、一人だけ、日常の匂いがした。
それに、どれだけ救われただろうか。
作中、何度も彼を見上げた妹の大きな瞳は、きっと、彼に「救われる予感」を知っていたのかもしれない。
最後に一つだけ。
福山雅治の顔がいい。