明らかに風邪を引いてしまった。自分の吐く息の熱さを感じる。それ程までに体温が上がっているのだろう。脇に挟んだ体温計を取り出すとそこに表示された数字は38度を超えていた。思った通りだ。2、3日前からどうも身体の調子が悪かったがここまで酷くなるとは思いもしなかった。とりあえず水分を取ろうと冷蔵庫を開けるとまともに物が入っていない。
「くそっ………」
数歩、歩くのがやっとのこの状態では外へ出歩くことも出来ないだろう。それに外は生憎の雨で大荒れ。この状態で誰かに頼るのも気に食わない。だがこのまま野垂れ死ぬ訳にもいかなく悩んだ末に俺の片割れであるミスタに連絡することにした。そして、必要最低限の情報をスマホで送り、再び布団に潜り込む。目をつぶってみるが眠れる訳もなく、ただ雨風でガタガタと揺れるボロアパートの片隅で縮こまった。
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