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    いをる

    じゅじゅつのこばなし。
    75の民。

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    いをる

    MAIKING*五条先天的女体化*
    *妊娠ネタ*
    *『最後の恋をはじめよう』の続編*
     キミのお父さんになる人は、温厚篤実。とても真っすぐで誠実で、ちょっとお堅いところもあるけど、私のことが大好きで、キミのことも大切にしてくれる素敵な人なんだよ。

     午後十時。灯りを落とした部屋の中で目を開けた。寝つきが悪い時は決まって、お腹に向かって語りかける。返事はないけど、きっと聞こえている。
    「たいくつだね」
     声が聞きたい。枕元に置いた携帯電話を手にした。
    「いいのかな。電話しても」
     時間帯としては遅すぎるということもない。きっと、まだ七海も起きているだろう。でも、任務帰りで疲れているかもしれないし、明日は早い時間に出る可能性もあるし。
     画面に表示された名前と電話番号を見つめながら逡巡の時間が延びていく。
    「いいんじゃないかな……電話しても」
     婚約者なのだし。と自らの立場を強調して納得させて発信ボタンを押した。
    『こんばんは』
     三コール目で相手は出た。
    「こんばんは」
    『ちょうどケータイ見てました。一コール目の途中で出たら、食いつきすぎかと思って我慢したんです』
     息を漏らして笑う声が微かに聞こえた。
    「ネタばらししたら意味ないじゃん」
     低くて透き通った声。自然と鼓 8255

    いをる

    MAIKING七五♀妊娠ネタの初夜を書き始めました。「五条さん、バニラとピスタチオとレモンなら?」
     冷凍庫を開けた七海の問いかけに、
    「うーん……バニラとピスタチオと……レモンかな」
     眉間に皺を寄せ、顎に手をあててやっとのことで答えを絞り出した。
    「ははは。夜も遅いので、少しずつにしましょうか」
     昨日買ってきたジェラートをガラスの器に盛り付ける。
    「どうぞ」
    「ありがとう。あ、七海も全部盛りじゃん」
    「はい。お揃いです」
     並んでソファに腰を下ろして、三食ジェラートに舌鼓を打つ。
    「おいしいね」
    「初めて入ったお店でしたが、正解でしたね」
     さっぱりとした甘みとバニラの香り、混ぜ込まれた小さな氷の粒が軽やかな食感を生む。
    「今度、チョコとかキャラメル味が食べたいな」
    「リクエスト、承りました」
     レモンのソルベを口に含み、冷たさと甘酸っぱさに眉を寄せる。
     ふむ。初めてのお店。初めて……初めて……
     言ってもよいものかと、少し悩ましくはあるけれど、
    「ねぇ、七海は溜まってないの?」
     五条の問いかけに、ことりと小首を傾げて見せた。
    「溜まる?疲れですか?任務と座学の両立は難しいですが、今のところは特には」
    「ううん。それじゃなくて 1693

    いをる

    MAIKING*五条先天的女体化*
    *妊娠ネタ*
    *子どもの父親は傑*
    *最終的には七五*
    「君にならできるだろ、悟」

     できねぇよ。誰がするか。バカ。
     頭の中で反響する言葉はどれもこれも私を苦しめる。

    「殺したければ殺せ。それには意味がある」

     できないって知ってたんだろ。どうせ。

     この感情は後悔だろうか。殺せばよかった?追い掛ければよかった?
     九月の往生際の悪い暑さは緩やかに体力を奪っていった。あまりに気だるく、机に突っ伏したまま黙って蝉の鳴き声を遠くに聞いていた。
    「ねえ、五条、ナプキンもってない?」
     家入が教室に入って来るなりそう聞いた。
    「持ってなーい」
     掌を振って応える。
    「はッ。使えな」
    「ひどい言い草だね」
    「保健室行ってもらってこよ」
     踵を返した家入が、ぴたりと動きを止めた。一拍おいて、いつもと同じさらりとした声で再び問う。
    「つーかさ、アンタ、最後に生理きたの、いつ?」
    「えっと……」
     任務で忙しかったから、生活のリズムが崩れているからと言い訳をしながらも、家入が付き添う形で高専の息のかかった病院で検査をすることになった。
     女の勘なんて曖昧なものではなく、五条の身体に起きた小さな変化に家入は気付いていたのかもしれない。
     五条は、大 6868