梅雨の再会6月下旬ーー
東京は例年より早く梅雨入りになり、灰色の厚い雲と、拭いたくなるような湿気がまとわりつく日々になっていた。
可楽は雨になると、ここ最近は決まって学校をサボるようになっていた。
特に意味は無い。傘に降り注ぐ雨の僅かな重さも、肌をしっとりさせる空気も、どんよりとした外の暗さも何もかも嫌になって途方もなく出歩くことが多かった。
まあそんな嫌な気分も、高校生が持つ悩み特有の進路がどうとか、誰とどいつが付き合っているのかとか、あいつはエンコーしてる噂があるとか、そういった煩わしいものとこの梅雨独特の雰囲気が重なって全て放棄したい気持ちが重なっているのかも。
だが自分は高校生の身。下手に彷徨いて警察に見つかって補導されるのも面倒だ。出歩く場所は限られている。
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