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    mion4213

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    楽怒長編小説①
    17歳可楽×25歳積怒 現代パロ
    梅雨から夏にかけての物語

    「言の葉の庭」みたいな恋愛しろという自分の思いから、言の葉の庭パロディ(?)が散りばめられています。

    #可楽
    #楽怒
    #楽怒うぇぶ夏祭り
    #積怒

    梅雨の再会6月下旬ーー
    東京は例年より早く梅雨入りになり、灰色の厚い雲と、拭いたくなるような湿気がまとわりつく日々になっていた。

    可楽は雨になると、ここ最近は決まって学校をサボるようになっていた。
    特に意味は無い。傘に降り注ぐ雨の僅かな重さも、肌をしっとりさせる空気も、どんよりとした外の暗さも何もかも嫌になって途方もなく出歩くことが多かった。
    まあそんな嫌な気分も、高校生が持つ悩み特有の進路がどうとか、誰とどいつが付き合っているのかとか、あいつはエンコーしてる噂があるとか、そういった煩わしいものとこの梅雨独特の雰囲気が重なって全て放棄したい気持ちが重なっているのかも。

    だが自分は高校生の身。下手に彷徨いて警察に見つかって補導されるのも面倒だ。出歩く場所は限られている。
    カフェやファミレスで時間を潰すものいいが、毎回何かしら特に欲しくもない飲み物や食べ物を頼むのも忍びない。最近の可楽のお気に入りは、都心にあるにもかかわらず膨大な広さを誇る公園だ。入園料はかかるが、学生なら100円で入れるし広いので場所への飽きがこない。雨を凌げる屋根もあるし。

    木々が多い公園に足を運ぶようになったのも、昔の自分の記憶が関係しているのかもしれない。


    可楽は自分の前世を覚えている。可楽の前世は、人喰い鬼だった。
    小さい頃は前世の自分の夢をよく見た。今はだいぶ朧気になってしまったが、当時自分は夢で見る鬼の自分がカッコイイと思っており、よく周りの大人に「自分は鬼だ、鬼はかっこいい」と話していたらしい。
    でも一般的に鬼は、昔話に出てくる財宝を奪ったり人を傷つけたりする悪役をイメージするものが多い。「鬼が好きなんて不思議な子ね」とたくさんの人に言われたのもよく覚えている。そこから自分でも絵本を読んでいくうちに「鬼は悪いやつなんだ、これに憧れるのはおかしいらしい」と、なんとなく声に出すのを控え始めた。

    まあ、自分は前世その悪い鬼だったわけで。
    自分は相当強い鬼だったのか、次々と人を殺し、喰い、残虐な行為を繰り返していた。
    そして、最後はこの公園よりも広い森で鬼狩りの軍隊にやられ、まさしく鬼退治されたというわけだ。前世がとんでもなく悪人(鬼)だったにも関わらず、今世は別にとんでもない罰があるほど生活が苦しいかというとそんなことは無く、今もこうして寿命も病にもなる人ではあるが、何不自由なく東京で男子高校生をしている。

    嘘だ。不自由がある。自分の半身に会えていない。
    半身というのは、可楽が鬼だった時に共に行動していた鬼だ。顔も背格好も似ている自分の分身体だったが、可楽と半身こと積怒はいつも2人一緒にいた。
    半身ではあるが性格も技も似ていなく、まさに正反対の2人ではあったが、可楽は積怒の事が好きだった。好きになったきっかけは前世の、そして鬼になって何年後、何十年後なのかも分からない時期なので、とりあえず相当昔なので覚えてない。

    鬼狩りにやられ、炎が広がる地獄で2人で手を繋いで歩いている夢を可楽はよく見た。
    「積怒、儂らはここで恐らく死ぬが、儂は積怒のことを忘れない。絶対また見つけて迎えにくるからの」
    「…なにをたわけたことを。腹立たしい」
    そういう積怒の声にはいつもの覇気がない
    「好きじゃから、積怒の事。このまま終わるのは嫌じゃ。絶対、また見つけるからの」
    「…好きにしろ」
    そう呟いた積怒は、握る手を強くしてくれた。
    可楽は自分の姿より、積怒の顔の方をよく思い出す。つり上がった眉、大きな口、怒った素振りをするがなんだかんだ可楽のことは本気で嫌がっていなかったのも知っているのだ。



    そして今新しい生を受け、幼い頃から無意識に積怒を探していた。子供の頃は行動範囲が狭くて探すのに困ったが、高校生にもなれば電車である程度の距離まで行けるようになる。友人と出かけるにも、修学旅行に行くにもいつでも可楽は積怒を探していた。
    「可楽っていつも遊びに行く時キョロキョロしてるよなー」と、友人によくからかわれた。
    そんなからかいなんてどうでも良いと思えるくらい、積怒に会いたくて会いたくてたまらない。
    子供の頃から、会えたらなんて話そうかと妄想を膨らませるのが好きだった。どこに住んでた?兄弟は?何歳なんだ?いままでどんな人生送ってきた?
    …恋人は?
    聞きたいけど聞きたくないことまで考えてしまうと、いつも積怒に恋人がいた場合の最悪のパターンを妄想するだけで辛いので思考が停止する。


    公園の地図を見て、屋根で雨が凌げるところをさがす。平日で雨が降っているということもあり、公園の入口からここまでほとんど人とすれ違わなかった。
    適当に時間潰して、昼過ぎくらいになったら流石に最後の授業だけ出るか…と考えながら東屋がある場所へ向かった。ベンチに人影があるのを確認した。
    うわ…人がいるのか、別のことろさがす、か

    「…積怒?」
    「…?」

    ベンチに座っている男が、怪訝な顔で顔を上げる。
    自分より幾分か歳上な、サラリーマンか?シャツにスラックスという格好で、組んだ足の上にノートパソコンが乗っている。彼のすぐ横には、コーヒーチェーン店のカップが置いてある。

    見間違うはずない、見間違うはずない、だって、夢にまで見た積怒だ。鬼の頃と変わってない。そのつり上がった眉、おまけに人より尖った八重歯がより鬼の頃の牙の名残のようでそんなところでテンションが上がってしまう。思わず積怒に近づきながら問いかける。
    「積怒…!積怒じゃな?!お前、今までどこにおったんじゃ!やっと見つけた!儂めっちゃお前のこと探したんじゃぞ!あぁー積怒ぉー!」


    「君は誰だ?何故俺の名前を知っている?学生か?学校はどうした」


    ゴンッと、何かに殴られたような衝撃。あやうく倒れるかと思った。


    「え…積怒、儂じゃ、可楽。覚えとらん?」
    「すまんが人違いじゃないか?俺は学生の知り合いはいない」
    可楽は今までの「積怒に会えたらなにを聞こう」と質問するのに浮かれていた自分をぶん殴りたくなった。
    なまじ自分が前世の記憶があるので向こうも前世がある前提で考えていたが、そもそも積怒の記憶が無いパターンを考えてなかった。儂はアホか!!!!!

    「すまんが仕事中なんだ。用がないならここで失礼するぞ」
    「ちょっ!待っ!」

    思わず積怒の腕をガッと掴んでしまう。どうする、どうする、向こうは儂のことを人違いしてるけど引き留めようとしているめちゃくちゃ怪しい高校生だと思ってるぞ。ここで終わってしまったらもう接触はほぼ不可能。どうする、どうする…!可楽はぐるぐると思考を巡らす。
    そこで、ふと積怒の持ち物に目がいく。儂でも知っているような有名企業の名刺だ。

    「その会社!儂も就職将来考えてて!話聞きたいんじゃけど!」
    「はあ?」
    積怒はつり上がった眉をより曲げた。何を言っているんだこいつといいたげな顔で。儂も自分で言ってて意味が分からない。第1その企業は儂の今の頭じゃ絶対目指せないと知っているし。でも積怒を繋ぎ止めるにはなにかきっかけを…「分かった」……え?!

    「分かったと言っている。大方こんな時間に出歩いている学生など真面目な生徒では無いのだろうとおもうが、今は将来に悩む時期だしな。俺にもそういった覚えはある。少し話すくらいなら別段構わん。……なんだ?来ないのか?」
    「っい、いく!行きます!」

    まさかの積怒の中で勝手な儂の自己解釈(まあ進路にぼんやり悩んでるのは合ってるし)をしてくれて、話が出来ることに。昔からなんだかんだ口が悪くても困ってる仲間のことを思いやってるのは変わらんのぉ…と積怒の後をついていきながらニヤニヤした。
    そのまま公園を出て近くのカフェに入り、積怒はコーヒー、儂はカフェラテを頼んだ。

    「…で、貴様はなぜ儂の名前を知っていた?」
    「えっ?」
    「覚えていないか、と聞いてきただろう。昔に会った誰かと勘違いしているのか?」

    勘違いじゃない、勘違いじゃないよ積怒。このカフェに来る間に積怒の歩き方、後ろから微かに香ってくる積怒の匂い、雨が降っている空を見上げるその角度、全部昔と一緒なんじゃ。間違いなく、前世俺の半身だった鬼の積怒なんじゃ。
    でも、今こんな事言ったって、気持ち悪がられるのは目に見えてる。ほんとは今すぐ伝えたいが、今はこの積怒と話せているチャンスを潰したくない

    「…随分昔、ずーっと一緒に過ごしてた自分の半身みたいな奴がいての。
    そいつのこと忘れられなくて…ずっと探しとったんじゃ。それがあまりにあんたに似てたから声掛けてしもうた…すまん」
    「……そうか。みつかるといいな、その半身に」
    「……うん」

    可楽は、積怒から紡がれるその言葉になんとも言い難い気持ちになったが、今はこれで良いと、必死に自分に言い聞かせる。

    そのまま企業の話しはそこそこに、積怒の話を聞き出すのに成功した。
    今は25歳、恋人はいない、都内のマンションに一人暮らし、生まれも育ちも東京。
    あの公園にいたのは、今の会社はリモートワークが出来るので基本家で仕事するが、たまに気分転換に外で仕事をする時があるらしい。
    恋人いない…よし、よし!可楽は密かにガッツポーズした。


    暫く話した後、積怒は1度会社に寄ることになったそうでカフェの前で別れることに。
    「また…会ってもいいか?儂、兄弟いなくて、兄貴みたいな存在に憧れとったんじゃ」
    「…まあ、たまにならかまわん。学校はきちんと行けよ」
    「!!分かった!いく!また、雨の日に会わんか?!」
    「は?!今は梅雨だぞ?!ほとんど雨ではないか腹立たしい!」
    「あの公園でいつまでも待ってるからの!じゃあな、積怒!」
    「あ、おい可楽!」

    積怒が、教えた自分の名前を叫んでくれるだけで頬が自然と上がるのが分かった。
    積怒に会えた喜びと、また会えることが出来る今後の未来にニヤつくしかない。
    可楽は梅雨の煩わしさがすべて好きになれるほど気持ちが高揚していた
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