あつい「ほら、ちゃんと飲んどけよ」なんて年上ぶってメンバーに飲み物を配って、さっさと飲み干してしまったニキに自分の分まで分け与えて、これはまずいかも、ということに気付いたのは炎天下のロケの後半戦だった。目の前がピンク色で、まるでずっとベッドの上を歩いているみたいに足元がふわふわする。それでも俺って結構すごくて、ちゃんと受け答えもできてるし笑ったり進行したりもできている、と、思う。ちょっとだけ自信ないけど。
「揚げたてメンチですって! 僕食べたいっす!」
「ええなあ、美味しそう」
こはくちゃんが俺の袖を引っ張って、「ほら」と促す。それに「おう」と応じようとして、後ろから襟首を掴まれた。
「ぐえ」
「ストップ、ごめんなさい、一回カメラを止めてください」
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