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    recucodayo

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    そんなこんなで、銀星は今2人の美丈夫に身体を好き勝手されている。敬愛なる獅子王と目をかけていた無機質な後輩が己を好きに貪るのを、薄い幕越しに見ている気分だった。


    教えて!銀星先生!


    事の発端は余りに単純。ギィが男同士のシモの話を吹き込まれ、それに便乗したケイが何故か銀星で実演している、それだけ。銀星は、流石スターレスの不憫と名高いだけあってか巻き込まれたなと察するのは早かったが如何せん内容が内容だった。いつものケイへの忠犬っぷりはどこへやら、持ちうる全ての力で抵抗した。んで、ギィに拘束されてホテルに連行。自分だけ服を脱がされて今に至る。

    「ねぇ!ちょ、やめろって!」
    「動くな銀星。やりずらいであろう」
    「・・・ケイ、銀星は、嫌がってる?」
    「いや、これも閨の醍醐味だろう」

    んな訳ねぇよ、と心中でツッコむも、銀星はもう半ば諦めモードだった。ただでさえギィ一人にも勝てないのに二対一じゃ無理ゲーだ。手足は自由だが何かあればすぐさま拘束されるだろう。しかし、何も言わずに行為を受け入れるのも何だか癪だったから抵抗は止めない。流石に黙って股開くビッチにはなりたくない。

    「いいかギィ、閨は己の快のみを追うものでは無い。共に悦に浸るための手段だ。覚えておけ」
    「ケイ、閨というのはセックスのこと?」
    「そうだ」
    「ケイ・・・ギィにこういう事吹き込むのやめません?」

    もう既に殺して欲しいくらいの羞恥に駆られている銀星の頭上でセックス講義が始まり、銀星の頭痛が酷くなる。第一、ギィは女の抱き方すら知らないだろうに、何も男で童貞捨てることは無いだろ、なんてあまりに今更な現実逃避をする。さっさと気でも失いたい。

    「前に女の人とやった事と同じ?」
    「は?」
    「そうだ。ただ、男と女では体の造りが違う。それ故、閨での進みが変わるのだ」
    「待って、待って」
    「銀星、なにかおかしい?」

    ギィが童貞じゃない事実にキャパオーバーしていた銀星に、不思議そうに返すギィ。きょとん、という擬音が似合う仕草に、さらに信じたくない気持ちが高まる。

    「ギィ、ひとつ聞きたいんだけど」
    「なに」
    「・・・お前童貞じゃないの?」
    「スターレスのキャストとしてレディの相手をするのに、抱き方一つ知らないのは失礼だろう」

    恐る恐るの銀星の問いに当たり前のように答えたのはケイだった。脳裏に過った何その理屈、という疑問は残念ながら銀星の頭から出力されることは無かった。多分お喋りによる時間稼ぎを見抜かれたから。

    「さて、」

    ショーの開演前の様な、冷静さと高揚が混ざったケイの瞳は銀星を黙らせるのに効果覿面だった。流石は色男、キスで黙らせる必要すらない。

    「ギィ、実践だ」
    「・・・何をすればいい?」
    「何、まずは此奴を愛でるのみ」

    妖しく光るブルートパーズとタンザナイトに銀星は負けを悟って力を抜いた。ここから形勢逆転は分が悪いので。



    存外ケイのキスは荒々しかった。ふだんは静かな熱という表現が似合う癖してベッドでは野性味が先に立つ。これで何人落ちたんだろうな、なんて銀星が思考を飛ばすと、すぐさま察したように舌を甘噛みされた。そのままケイの口内に引き込まれた舌が苛烈に絡まれる。聞くに耐えない音がして、銀星は思わず身をよじった。
    その間、ギィは手持ち無沙汰なのか、銀星の耳輪をふにふにと揉んだり、唐突に耳珠を押し込んだりして遊んでいる。左耳のインダストリアルに当たった爪が固い音を立てた。

    「・・・んぅ、っふ」

    息継ぎの為に口を開ければ、更に激しく貪られてクラクラする。果てにはギィが両の耳を塞いできたため、銀星の頭蓋に水音が満ちる。恥ずかしさのあまり顔が火照るのを、他人事のように認識した。

    「はぁ、ふ」

    ようやく口が開放される頃には、銀星の瑠璃は溶けきって、熱に溺れるみたいにはふはふと息をしていた。あまりにチョロい。ケイは放心している銀星に好都合と笑ってするすると上半身に手を這わす。時折ぴくり、と筋肉が伸縮するのが面白い。

    「・・・ぁ、ケイ、まって」
    「待たぬ」

    何も待つほどのことはしていないと言うのに、浅い息と共に吐かれる制止の言葉。それに否を返して銀星の腹を軽く押し込む。身を固くした銀星に気を良くするのは仕方ない。

    「ケイ」
    「嗚呼、そうだったな」

    一声ギィに呼ばれたケイはもう一度銀星を見下ろす。その視線に嫌なものを感じたのか、銀星の手がケイの手に重なる。

    「ギィ、良いぞ」

    その号令を合図に、ギィは銀星を抱き上げる。向かい合わせになるようにギィの膝に乗せられた銀星は、何が何だかわかっていない顔をした。

    「うわっ!?なに」
    「銀星」

    目の前の人形じみた無感情な人間から自分の仮名が出たことに驚く。至近にある鼻先に焦って背をそらす前に銀星の唇が薄く冷たいギィのもので塞がれた。色事など全く知りませんといった雰囲気の男のキスはまぁ随分と主人に似ていて、しかし苛烈というよりはどちらかというと溶かすようなキスだった。2人して舌の動きは似ているくせに、ギィのキスはもっと甘えるような、率直にいえば銀星にも動く隙を与えるようなものだった。ケイに貪られるのとはまた別の満足が心を満たす。

    うっとりとキスに浸っていると、ケイが銀星を背中側から抱きしめる。もう銀星は逃げることも、抵抗することも許されなくなる。それにどこか仄暗い優越感を感じながら、堪らなくなった銀星はギィの頭を掻き抱く。存外固めの単発がくしゃりと握られる。
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