かのあや彼ジャージで彼氏をノックアウト作戦。「ねーねーあやさん、こんなところにジャージが上だけあるよ」
「そりゃ暑くて脱いでたんだから置いてあるに決まってるでしょ」
「んは〜〜そりゃそうだよね〜〜てことで着ちゃおうよ、彼ジャージしようよ」
「いやダメでしょ流石に」
「いーんだよ彼女特権、見せつけてこ〜〜あげ〜〜」
そういうと恋人、幸村精市のジャージをいつも彼がしているように肩にかけるスタイルで着用する奏音。
一方絢は同じく恋人である不二周助のジャージを手に持ち、少し頬を赤らめつつそれを見つめている。
「ねえかのちゃんほんとに着るの…??」
「ったりまえっしょ!!!ばばーん」
「なんで仁王立ちしてるの???」
「強そうじゃない??かのちゃんに死角はないってね」
「どういうことなのよ、似合ってるけどさ」
「ほらほらいいから着ちゃいなよ、こんな機会滅多にないよ??」
「え、えーーー…ほんとに?着るの?」
「往生際が悪い!ここまで来たら着るしかないの!かのちゃんが着るっつったらあやさんも着んの!」
「相変わらず強引だねえ」
奏音のゴリ押しによってゆっくりとジャージに袖を通す絢。やはり男子のジャージは女子と違って少しばかり袖が余る。
「いいねいいね、似合うと思ってた!!サイコー!よっ不二周助の彼女!」
「えぇ…」
「よっしゃこのまま彼氏ズの元へレッツゴーよあやさん!かのあや彼ジャージで彼氏をノックアウト作戦。」
「何??????」
「ちょうど練習も終わりそうだしほら!いくよ!」
「あっちょっ引っ張んないで自分で歩けるから!!!!」
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「不二、今日はいい練習ができたよ。ありがとう。」
「こちらこそ。色々と勉強させてもらえて助かったよ。あとで少し植物についての相談があるんだけどいいかな?」
「構わないよ。」
自分たちの上着があんな事になっているとは露知らず、練習が終わり夕焼けの中汗をタオルで拭きながら優雅に会話をする不二と幸村。
「あ!!!いた!!!!!せーーーいちーーー!!!!!!」
「ちょ、声でかくない???」
「あやさんも連れてきたよーー!!!!!」
身長的に隠れることはないのだが、奏音の後ろに恥ずかしそうに隠れている絢の腕を持ちそのまま手を振る奏音。
「フフ、相変わらず幸村の彼女は元気だね。」
「不二の彼女さんもいるみたいだよ、本当に仲良しだよね」
「なんだか妬けちゃうなぁ。」
「……おや、そのジャージはもしかして俺のかい?」
「大正解!せーいちの着ちゃった〜」
「絢、どうしたの?」
「これは、その…かのちゃんが強引に……」
「なんかジャージが置いてあったからせっかくだし彼ジャージしよ!ってなったの、どうかな〜??」
肩に羽織ったジャージをパタパタ靡かせ上機嫌に見せつける。
一方絢は顔を耳まで真っ赤にし、一向に視線を合わせようとしていない。
「とっても似合ってるし可愛いよ、奏音にはいつも驚かされてるな。」
「後で写真撮ってもいいかな?携帯の待ち受けにしたいんだけど…」
「ふふ、俺も奏音の写真欲しいな。それがあればもっと頑張れそうだ。」
「ダメ!!!絶対ダメ!!!!!!!」
「え!写真!!!!?いいね最高4人の写真とツーショと1人でいっぱい撮ろ!?」
「なんでかのちゃんまで乗り気なの!!!?」
絢の叫びは虚しく、結局沢山写真を撮り、次の休みにダブルデートの約束をして仲良く帰った4人であった。