異性の意見は信頼せず、本人に確認した方がいい「くぅ…(泣)なんでだお妙さん!身も心も財布も捧げているのにっ(泣)」
「局長その顔のアザ……あ、傷に塩塗っちゃいますね…。冷やしタオルどうぞ?」
「えぐっえぐっ、ありがどう"(泣)」
顔に派手な青アザがある、真選組局長近藤勲。
本日も意中のお妙にぶん殴られて帰還。
そしてそのまま隊士達が集まる食堂に入り、現在泣いている。
唯一の女隊士の桃萌は、心中を察し、何も聞かずに冷やしタオルを渡した。
近藤のこんな姿は日常茶飯事なので、皆は苦笑いを浮かべながら慰める。
「ありゃりゃ。毎日懲りないですねィ。」
一番隊隊長沖田総悟が、テーブルにつっ伏している近藤の向かいに座った。
「局長、なんでこんなになるまで毎日毎日…。」
あまりの近藤の姿に、とても気の毒になった桃萌は心配そうに近藤に話かけた。
「…えぐっ。だってよ、俺にとってお妙さんは女神なんだよ。俺ぁ、あの人しかもう考えられないんだ~っ(泣)」
「……っ///きょ、局長~(泣)そんなにお妙ちゃんのこと想っているんですね(泣)」
近藤のあまりにも真っ直ぐな気持ちに、桃萌は共に涙を流す。
「「えーーーーん(泣)」」
「一体なんの騒ぎだ。」
「あ、副長。まぁいつものやつですよ。局長、お茶どうぞ。」
副長の土方が食堂に来たところで、監察の山崎退は、近藤に温かいお茶を持ってきた。
すると近くにいた隊士たちも話し始める。
「局長、毎日毎日めげずにストー…じゃなくて、愛を伝えれば絶対振り向いてくれますって!」
「そうっすよ!男として侍として意中の女は絶対手に入れましょうよ!」
「ゴリラストーカー万歳!」
適当なことを言う隊士に、土方が頭を抱える。
「お前ら近藤さんをストーカーとして煽るんじゃねぇ…。」
すると、十番隊隊長原田右之助が土方の横に来た。
「でも副長、ぶっちゃけ姉御って局長のこと好きだと思わないっすか?俺は脈アリだと思うんですけどね~。」
土方は、天井を見上げて咥えていたタバコを手に移して、紫煙を吐いた。
「……まぁ、ありゃ好きだろうな。『嫌よ嫌よも好きのうち』って言うだろ。」
「うぉー!さすが真選組イチのモテ男!!言うことが違いますねェ!」
原田はさりげなく『モテ男の土方と同意見』というところでテンションが上がった。
「…………え?……ちょっと…え?」
急に桃萌が声をあげる。
近藤と泣いてたかと思ったら、既に真顔になっている。
「なんでィ。急に。」
「今、副長『嫌よ嫌よも好きのうち』って言いました?」
「……あぁ。だってそうだろ。女は『嫌だ嫌だ』言うくせに、なんだかんだ嬉しいんだろ?」
「…………え"?
いやいやいや、ない………あり得ない!
女性が嫌だって言ったら嫌なんですよ!
『嫌よ嫌よも好きのうち』?
そんなこと言ってるから、女性が怖い思いするんですよ!
そんなだから局長がストーカーだとか言われるんですよ!!」
「………… ; 。」
「「「(副長がっ何も言い返せねぇエエ)」」」
「……え"、桃萌ちゃん?さっき俺のこと応援してくれたよね…(泣)」
桃萌のチンピラモードON。
土方を一刀両断。
近藤がストーカーになっているという事実があるので、誰も何も言い返せない。
近藤に至っては、急な桃萌の手のひら返し。
同じく食堂にいる全員が黙り込む。
「男として侍として、本当に江戸の平和守る気あるんですか?
たった一人の意中の女性も守れずにぃ?
『嫌よ嫌よも好きのうち』
はぁぁあ??いやいや!
男だったら、ストーカーしたりなんかしないで、真っ正面から真剣勝負したらいいじゃないですか?
恥ずかしがらずに、ドストレートに愛情表現したらいいじゃないですか!!
ねぇ〜!沖田隊長?
沖田隊長も何かと意地悪するドSタイプですけど、どうですかね?
子供の内は『好きな子には意地悪しちゃう〜』って可愛いかしれないけど、大人になってまでやっちゃいますぅ〜?
……いいのかな〜それでぇ〜。」
「Σ ……!」
急にご指名の沖田。
顔は笑っているが、目が笑っていない桃萌。
いつもは一腐れもニ腐れも言う沖田だが言い返せない。
「あ(*゚▽゚*)良いこと思いついた☆
副長、局中法度に1条追加してください!」
【乙女心を理解しようと努力しない奴、士道不覚悟で切腹】
~完~ (終われww)