溶けたバターとトーストの香り。ミスタは寝ぼけ眼で鼻をひくつかせると、のそりとベッドから起き上がった。
彼には完璧な朝が二種類存在する。シュウより先に起きる朝と、シュウが先に起きている朝だ。つまるところ全てが完璧ではあるのだが、どうやら今日は後者らしい。
ちなみに後者の場合は、シュウの寝顔の代わりに朝のキスと美味しい朝食を手に入れることが出来る。というわけで、ミスタは早速キッチンにいるであろうシュウの元へと向かった。
「おはよ」
「ンモ、」
「食べてからでいいよ」
ミスタがキッチンへ入ると、シュウは丁度トーストの一口目を楽しんでいるところだった。既に着替えを済ませており、髪もきちんとセットされている。普段なら眠っている時間帯だというのに珍しい。予定でもあるのだろうか。
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