ルシサンワンドロ【びしょ濡れ】 天司長の座を引き継ぎ空の世界を護ってくれていたサンダルフォンが、見違えるように立派になって私を空へ連れ戻してくれた日、私は天司長の力をもたない、ただ空を飛ぶための大きな六枚羽があるだけの星晶獣として復活し、特異点の艇の非戦闘員の一人になった。本来の性能ではないとはいえ、覇空戦争頃に造られた規格の星晶獣程度には戦えるはずなのだが、私のこととなると過保護になりがちなサンダルフォンの配慮によってそういった立場に落ち着いている。
普段は同じく非戦闘員の子どもたちや依頼等のない団員たちと一緒に艇番をし、サンダルフォンの喫茶室を手伝い、洗濯当番などの持ち回りの仕事をして過ごす。私は死という概念の薄い星晶獣ではなくなった。空の民に混じり、限りある生を生きる人の子らと同じように一日一日を大切にするという心を学びながら、充実した日々を過ごしていると感じている。
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