ただ、君だけが「本番」魏無羨が入口で惚けていると、藍忘機が促すように腰に触れた。
振り返った魏無羨はまじまじと藍忘機を見る。
「どうかしたか」
「いや、本当……何食べたらそんないい体になるのかなって思って」
「特別な物は何も」
「ずるいなぁ」
魏無羨が上から下までジロジロと見るため、藍忘機は居心地が良くないようで。
「魏嬰、こちらに」
「はーい」
藍忘機は魏無羨の手を引いて連れて行くと、魏無羨を洗い場の椅子に座らせた。
「なんか、全部お前がやるって思うとさ、お姫様にでもなった気分だよ」
「お姫様なのだろう?」
「あの時のあれはノリで言っただけだろ」
あはは、と笑いながら、魏無羨は藍忘機がお湯の温度を確かめる姿を眺めた。
均整の取れた体は白く、筋肉がしっかりとついた体はしなやかだ。魏無羨のいたずらごころにも火が灯る。
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