4.魔族か人間かアキトはサキではない方の人物を見て、｢エナ｣と名前を呼んだ。
それに答えるように、
｢あ、アキト！？｣
と相手──エナは返事をする。

｢お前………生きてたの、か、？｣
｢アキトこそ………… てっきり魔族にやられたもんだと………｣

｢………？ 待て、お前、魔族ではないのか？｣
｢え、あ、それは…………｣

騎士など一部の役職を除き、人間は魔法を使うのを禁じられている。
しかしエナは先ほど魔法を使っていた。

｢…おい、エナ──だったか。これはどういうことだ？｣
｢え、えっと、そ、それは………｣
｢人間による魔法の使用は禁じられている。 破った場合──その場での処刑が認められている。｣

サキ、アキト、お前らの悲しむ顔は見たくないが…………仕方ない。

3.二つの再会森の焼けていないエリアを慎重に進んでいくと、急にひらけた場所に出た。
そこには──一軒の家が建っていた。
若干古い作りのログハウスだ。 10~20年ほど前のものだろうか。
流石にこうともなるとアキトとミズキを呼ぶために引き返そうかと思ったが───その矢先。
なんと家から誰かが出て来たのだ。
即座に近くの茂みに隠れ、家の方を覗く。

そこにいた人物は───サキを連れ去った魔族に似ていた。
角もないし流石に他人のそら似だろう──そう俺は信じた。
何かの手がかりになるかもしれないので聞き耳を立てる。
すると───
｢じゃあ街まで買い物に行ってくるね、サキは留守番よろしくね｣
｢はーい！｣

───────サキ？

幼少期に比べ当然声は低くなっているとはいえ、あれは絶対にサキの声だった。

2.森翌週。
俺たちは森の近くで集まった。
｢じゃあ行こうか～！……っと、その前に｣
｢結界だろ｣
｢そうそう、流石アキト！｣
｢お前ら、ちゃんとポーション持ってきただろうな。流石のオレでも回復なしで森を調査出来るほどの魔力はねぇから｣
その言葉を受け、俺とミズキはカバンからポーションを数本ずつ取り出す。

｢よし…｣
そう言ってアキトは俺たちを森の中へ手招きする。
アキトはその場で呪文を唱え始めた。
呪文は恐らく異国語なので何を言っているかさっぱりわからない。
｢………これでよし。とりあえず、調査できる範囲は結界はったぞ。｣
｢それじゃ、まずは森林火災の発生現場から見に行くとするか｣

山を登って数分。
｢とうちゃ～く！……うわぁ…悲惨だねぇ………｣